3-1号 (2018年7月)

1.一般社団法人日本アルコール・アディクション医学会の誕生に寄せて

鈴木 勉
(星薬科大学薬物依存研究室)

このニューズレターが会員各位のお手元に届くときには、当学会は任意団体としての最後の数か月を送っていることでしょう。

すでに会員各位にも周知の通り、2018 年 8 月 1 日より当学会は一般社団法人化を予定しています。

私がこの原稿を広報委員会からご依頼いただいたのは、齋藤理事長からのご指名により法人化ワーキンググループの責任者として、これまで法人化へ向けた検討や説明資料(本ニューズ レター2-1 号にも寄稿)などを準備し、理事会等で法人化を進めてきたからですが、思いのほかスムーズに進められたのは、会員各位のおかげと考えています。まだ法人化の一歩手前の時期とは思われますが、僭越ながら役員を代表してここでお礼を申し上げたいと思います。ご協力誠にありがとうございました。

さて、私は当学会の法人化には大きな意義があると考えています。

昨今の覚せい剤、睡眠薬、危険ドラッグをはじめとする薬物依存や買い物・ギャンブル・インターネット依存は今や深刻な社会問題ともなっており、それらを総合的に研究する学会として、当学会は日本で最大の団体であります。

また他の団体がなかなかなしえることのない学会合併を 2 度にわたって行い、それぞれの団体の持ち味を継承しつつ、精神科、内科、薬理、法医、公衆衛生、看護学、保健、福祉、社会学や脳科学等の研究者や臨床の現場の多くの医療職種で構成された豊かな人材を要している学会でもあります。そのなかの最も大きな団体であった「日本アルコール・薬物医学会」の前身「日本アルコール医学会」の発足から考えれば、実に 60 年近い歴史を持つ伝統ある学会でもあります。そういった学会が法人化し、わが国における責務を果たしていくことは、これからのアディクション関係の医療や学術研究において大きな布石となると思われます。

法人化直後は、会員各位へ総会等でご連絡したとおり、従来の役員が登記されますが、9 月の京都での学術総会の代議員会において新役員が委嘱され、新たな執行部も誕生します。新執行部がどのような舵取りをしてくれるかも、ひそかに楽しみにしています。

今年の学術総会は竹井会長のもと「依存症研究-生命医科学への展開」のテーマを掲げ、ISBRA とも合同で開催予定であります。もともと当学会は齋藤理事長の指導力で、毎年国際学会で若手中心のスポンサードシンポジウムを実施するなど、国際化に前向きに取り組んで来ました。法人化後はますます、国内外を問わず、依存症研究をリードし、竹井会長の学術総会のテーマのように、基礎・臨床の研究の生命医科学への展開や、多様な依存・アディクションや関連身体障害の医療・研究に貢献する学会となると考えられます。

そのような未来を希求し、この巻頭言を締めくくらせていた だきます。

2. 第53回日本アルコール・アディクション医学会 学術総会のご案内

第 53 回日本アルコール・アディクション医学会
会長 竹井謙之
(三重大学大学院 医学系研究科消化器内科学)

第 53 回日本アルコール・アディクション医学会学術総会は、 2018 年 9 月 9 日(日)から 11 日(火)の 3 日間にわたり国立京都国際会館で開催させていただくことになりました。本学会は 2016 年 4 月に日本アルコール・薬物医学会と日本依存神経精神科学会が統合して発足しました。そこで学術総会は統合後 3 回目となりますが、最も歴史の古い日本アルコール・薬物医学会の開催番号を継承し第 53 回総会としています。学術総会はアルコールや喫煙、薬物対策について最新の研究成果を多彩な視点から討論し、アカデミアと社会に広く情報発信する役割を担っております。今回は第 40 回日本アルコール関連問題学会、そして ISBRA (International Society for Biomedical Research on Alcoholism) 2018 との共同開催です。このような歴史と伝統のある本学術総会を担当させていただくことを光栄に存じます。

アルコールや薬物依存をめぐる生命医科学は、時代の最新技術と概念を取り込んで自らの発展を促したのみならず、新しいパラダイムの萌芽を育み、広く医学生物学を涵養する「最先端研究室」の役割を果たしてきました。アルコール性肝障害から多くを学び、その研究成果を継承・発展させた NASH の病態解明などは最たる例でしょう。一方、中枢・神経系を含む諸器官・多臓器にわたる「臓器間ネットワーク」という視点からアルコールや薬剤の影響を考察しようとする新しい展開も注目されます。このような新しい時代の息吹と学際領域拡大の胎動を感じ、さらに国際学会 ISBRA との合同開催の機を得て、本学術総会のテーマを「依存症研究―生命医科学への展開」とさせていただきました。

本学術総会では、学会員の多様なニーズに応えることができるよう、多彩な領域から特別講演、教育講演、最新のテーマを扱うシンポジウム等の企画を考えております。本学会ならではの最新知見の発表と真摯な討論ができればと思います。
第 53 回学術総会が充実したものになりますよう、先生方のご支援とご指導をお願い申し上げます。多数のご参加をお待ちし ております。

3. ISBRA2018 について
~ISBRA京都学会への参加をお待ちしています~

第 53 回第 19 回 ISBRA 世界大会
大会長 樋口 進
(独立行政法人久里浜医療センター)

本ニューズレターの前号でもご案内したとおり、今年(2018 年)の ISBRA(国際アルコール医学生物学会)世界大会は、京都国際会館で 9 月 9~13 日に行われます。今回の ISBRA は、本学会(大会長竹井謙之先生)および日本アルコール関連問題学会(大会長辻本士郎先生)と、共同開催いたします。すでに、シンポジウムやポスターの受付および採択は終了し、現在プログラムを作成しているところです。

特別講演に 5 名の著名な研究者(Dr. V. Poznyak, Dr. V. Ramchandani, Prof. J. Rehm, Prof. Y. Takei, Prof. R. Wiers) をご招待しています。また、今回の ISBRA には、南カリフォルニア大学の塚本先生が組織された「International Symposium on Alcoholic Liver and Pancreatic Diseases (ALPD) and Cirrhosis」もそのプログラムに組み入れられています。ISBRA 全体では、この ALPD も加えて、83 のシンポジウム・ワークショップが組み込まれ、ポスター抄録も 180  ほど採択されています。この中には、アルコール以外に、薬物、ギャンブル、ゲーム等最近話題のトピックも含まれています。特にわが国からは、多くのシンポジウムやポスターの申し込みをいただき、この場をお借りして感謝申し上げます。

大会のメインテーマは 、「 Global Alcohol Research – Expanding Our Knowledge, Supporting Our Members」です。このテーマに沿ったプログラムとして、今回は発展途上国の若手研究者の育成を目指して、ISBRA-WHO 共同ワークショップを企画しました。このワークショップは、アルコール関連問題の予防や治療に関する 6 つの異なるセッションからなり、ファシリテーターの指導のもと、参加者が学ぶスタイルになっています。このワークショップでは若手研究者の発表もあり、23 の抄録を受け付けています。わが国からも多くの研究者の参加を期待しています。また、シンポジウムを 2 枠使い、アルコール健康障害対策基本法関連のシンポジウムを行う予定です。このシンポジウムのみ、ISBRA に参加しない国内学会参加者も参加可能となっています。

今年の ISBRA は、例年にも増して、様々なプログラムが用意されています。学会へのご参加、ご貢献を心よりお待ちしています。

4. 2019 年度学術総会のご案内

第 54 回日本アルコール・アディクション医学会
会長 白坂知信
(北仁会 石橋病院)

第 54 回日本アルコール・アディクション医学会学術総会は、 2019 年 10 月 4 日~6 日に、札幌コンベンションセンターで開催させていただくことになりました。

第 41 回日本アルコール関連問題学会との同時開催です。このような歴史と伝統のある本学術総会のお世話をさせていただけ ることを大変光栄に存じます。
アルコールや各種アディクションに関する基礎研究・臨床研究・診断・治療方法等は、この数年著しく発達してまいりました。

DSM-5によるアルコール使用障害の概念は、治療対象者(500~600 万人)の拡大のみならず、節酒指導として医療や保健指導の現場で激変をおこしました。行動障害に分類されていた病的賭博は、ギャンブル依存症として、統合リゾート(IR)問題を含め注目されています。今年秋までにはICD-11が発表される予定であり、アディクション問題に関する考え方の詳細で具体的な治療、援助方法が再検討されようとしています。

40 年前に、私の恩師である齋藤利和理事長は、これからは「酔いの文化」の時代であることを指摘されたことを思い出します。
この「酔いの行為・感情」は「物質依存」のみならず「プロセス」「対人関係」等と広く認められるようになりました。その主因として「生育歴、生活歴」の役割が新たに見直しされ、ドーパミン仮説や「脳機能研究」へと発展してきました。糖尿病でも類似のメカニズムが作用している可能性があり、アディクション問題は全診療科にかかわる疾患であると再認識されてきました。その為各診療科との連携が今まで以上に大切となってきています。

本学術集会では、皆様の多様なニーズに応えることができるよう、各種領域から、シンポジウム・教育講演等をアルコール関連問題学会と共同で企画を考えています。また、海外の若手研究者との合同シンポジウムも開催する予定です。「基礎から臨床」まで、広く皆様と真摯な討論ができれば幸いと存じます。

第 54 回学術総会が実り多いものとなるよう、先生方のご支援とご参加、多数の演題応募をお待ちしております。

5. 賞の募集について

日本アルコール・アディクション医学会では、毎年以下の賞を募集しています。

●柳田知司賞:学会最高賞に位置付けられる賞です。50 歳以下の若手・中堅の研究者を対象に業績審査が行われます。

【過去の受賞者】

第 1 回(2011 年)
高野裕治(NTT コミュニケーション科学基礎研究所)
第 2 回(2012 年)
該当なし
第 3 回(2013 年)
森 友久(星薬科大学 薬品毒性学教室)
第 4 回(2014 年)
池田和隆(東京都医学総合研究所 依存性薬物プロジェクト)
第 5 回(2015 年)
永井 拓(名古屋大学大学院 医学系研究科 医療薬学・付属病院薬剤部)
第 6 回(2016 年)
中村幸志(北海道大学大学院 医学研究科社会医学講座公衆衛生学分野)
第 7 回(2017 年)
松本俊彦(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)

●CPDD 奨励賞:毎年 CPDD にて発表予定の中から、応募により賞選考委員会にてその内容を審査し贈呈いたします。

●その他若手研究者のための国際学会奨励賞:開催予定の国際学会の中で、当学会所属の若手研究者が研究発表等を行う際に申請できます。対象の国際学会は国際委員会にて選定し、ホームページ等でご案内いたします。

奮ってご応募ください。


Photo by Tsutomu Suzuki

6. 国際学会情報

国際委員会委員長 高田孝二
(帝京大学 文学部)

国際委員会は、これまで、主にアジア地域での国際学会におきまして、シンポジウムを企画・サポートしてまいりました。本年は、京都で 9 月 9~13 日に第 53 回日本アルコール・アディクション医学会学術総会(大会長:竹井謙之先生)と共同開催されます ISBRA ( International Society for Biomedical Research on Alcoholism 大会長:樋口進先生; http://www.congre.co.jp/isbra2018/ )におきまして、伝統の JMSAAS/ESBRAジョイントシンポジウムおよび公募によるシンポジウム 2 件のサポートのほか、国際委員会の企画として、国際協力機構(JICA)のサポートによるシンポジウム 1 件、JMSAAS サポートによるシンポジウム 5 件を開催する予定としております。

上記のように、本年は ISBRA に傾注した形となりますが、2019 年では、詳細はまだ不明ながら、Asia-Pacific Society for Alcohol and Addiction Research (APSAAR)が開催されますことから、ここでのシンポジウムを計画したいと考えております。

以下に 2018・19 年開催の主な関連国際学会を掲載いたします(各分野で日付順;選定は国際委員会;URL のないものは詳細不明です)。

精神医学分野、薬理学分野

  • European Society for Biomedical Research on Alcoholism (ESBRA), Nordmann Award Meeting 2018, 10/11-10/12, Louvain-la-Neuve, Belgium
    (http://www.esbra.com/calendar/ )
  • 20th International Society of Addiction Medicine (ISAM) Annual Meeting, 11/3-11/6, BEXCO, Busan, Republic of Korea
    (http://isam2018-busan.com/2017/english/main/index_ en.asp )
  • Research Society on Alcoholism (RSA) 42nd Annual Scientific Meeting 2019, 6/22-6/26, Minneapolis, MN, USA

内科学分野

  • United European Gastroenterology (UEG), 26th UEG Week, 10/20-10/24, Vienna, Austria
    (https://www.ueg.eu/week/ueg-week-2018/ )
  • American Association for the Study of Liver Diseases (AASLD), Liver Meeting 2018, 11/9-11/13, San Francisco, CA, USA
    (https://www.aasld.org/events-professional-developm ent/liver-meeting )

衛生学・公衆衛生学分野

法医学分野

  • 56th The International Association of Forensic Toxicologists (TIAFT2018) 8/26-8/30, 2018, Belgium
    (http://www.tiaft2018.0rg/ )
  • 57th The International Association of Forensic Toxicologists (TIAFT2019), 9/2-9/6, 2019, UK

心理学分野

7. 学会法人化にあたり

総務委員会委員長 藤宮龍也
(山口大学大学院 医学系研究科 法医学講座)

日本アルコール・アディクション医学会は平成 30 年8月1日にいよいよ一般社団法人になります。多くの国内学会が法人化される中で、そのメリット・デメリットを巡り、長年にわたり多くの検討がなされてきましたが、わが学会も時勢に従い、法人化されます。平成 28 年の齋藤理事長のもと理事会(10/6)の指示により法人化ワーキンググループ(WG)が立ち上がり、平成 29年の総務委員会(6/17)で鈴木理事を中心に法人化への手続きが検討され、理事(7/16)で法人化の基本方針を決定、評議員会・総会(9/8)で承認されました。それに従い、現在、平成 30 年8 月1日の法人の設立に向けて手続き中です。法人化ワーキンググループ(WG)がスタートする前は、いろいろな困難を予想していましたが、鈴木理事のご教示のおかげで目標が明確となり、どうにか進むことができたと感じています。法人化の設立後は法人としての運営の細部が焦点となり、問題は山積みです。

現在、当学会は財政状況や世代交代、会員獲得などの問題を抱えています。また、法人化に伴い、学術総会の運営が本格的に学会主催となり、学術総会の運営の変革が求められるようになります。この新たな問題に取り組まなければなりません。財政問題は学術総会運営と会費収入の両立の中で解消されるとよいと考えています。時代の流れは縮小ニッポン対策となってきています。日本では高齢化問題と若手減少が同時進行していますので、若手登用と高齢者活用のバランスが求められます。また、インターネット利用の様々な手続きとそのセキュリティ対策・プライバシー保護もますます大きな課題となります。ホームページの活用やメール配信等を積極的に活用することが常識的な ICT の時代となり、新しい仕組みもできてくると考えます。国際対応では、今までの欧米中心の対応から、よりグローバルな対応が求められ、近隣諸国との連携・共存が求められるようになると思います。

国内では平成 26 年6月に「アルコール健康障害対策基本法」が施行され、この基本法に基づき、平成 28 年5月に「アルコール健康障害対策推進基本計画」が策定されました。また、平成 30 年の6月現在、カジノ法案(統合型リゾート(IR)整備推進法案)が審議中で、ギャンブル依存症が話題となっています。最近はネット(SNS)依存症も注目され、種々の依存症について行政や民間からアドバイスや協力を求められるようになると思います。また、成人年齢が 18 歳に引き下げられますが、飲酒・タバコは 20 歳のままのため、教育現場での飲酒や依存症予防についての教育の機会が増えると思います。法人化により、学会としての社会貢献が行いやすくなりますが、同時にその責任も大きくなります。今後は学会としての社会貢献の形を模索するようになると思います。学会につきましては医師以外の加入会員が学術的発表の場として多くご参加頂くようになり、アディクション対策の比重が増えてきています。学会内の連携や学会間連携などの必要性が増え、学会の活性化を期待しています。

私の所属する法医学分野ではアルコールや薬物の臨床法医学的鑑定が増えています。アルコール規制は世界的にゼロ・トレランス時代となり、より厳しいアルコール規制が各国で採用されています。飲酒運転の鑑定については、吸収期のアルコール濃度、残留アルコール、酩酊度などが問題となっています。飲酒運転の血中アルコール濃度の基準は、日本は 0.3mg/mL ですが、 残留アルコールについての刑法と道路交通法との齟齬が問題となっています。ドイツでは 0.5mg/mL と 1.1mg/mL の2段階となっており、国際間の対応の差も検討されるべきです。このような解決が必要な問題がまだ残っており、後継者の育成も急務と考えます。

法人化されたとしても、まだまだ手探り状態です。今後も、会員の皆様にはいろいろなご不便をおかけすることになるかと思いますが、どうかご容赦願いたく存じます。今後とも、学会のますますの発展にご協力をお願いいたします。

8. 施設紹介: 国立精神・神経医療研究センター

松本俊彦
(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターでは、研究所と病院を併せ持つナショナルセンターの特色を活かし、 2017 年 9 月に薬物依存症治療センター(センター長 松本俊彦)を開設しました。同センターは、精神科医師、心理士、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、薬剤師、研究者などの多職種から構成されており、薬物依存症治療に対して病院精神科と研究所薬物依存研究部とが有機的に連携し、質の高い医療サービスの提供を目指しています。

NCNP における薬物依存症治療の取り組みは、2005 年に NCNP 病院医療観察法病棟での物質使用障害治療プログラム立ち上げから始まりました。2009 年 10 月には「薬物依存症外来」を、そして 2010年 1月からは病院の外来で依存症集団治療プログラムを開始しました。また、2017 年には精神科救急病棟での物質使用障害簡易介入プログラム、ならびに家族支援プログラムも立ち上がり、包括的な治療体制を整備しました。現在、地域の精神保健福祉センター、保健所、保護観察所、ダルクなどの民間回復施設と連携し、きめ細やかな支援を展開しているところです。

研究面でもいくつかの先進的取り組みを行ってきました。 2006 年より治療プログラム「SMARPP」の開発に着手し、それを国内に普及する活動を展開してきました。その結果、2016 年には「依存症集団療法」として診療報酬加算対象として認められ、 2018 年 5 月末現在までに、国内 37 箇所の精神科医療機関と 35 箇所の精神保健福祉センターに広がっています。また、刑の一 部執行猶予制度に対応した薬物依存症者地域支援のためのアクション・リサーチとして、2016 年より、保護観察と地域精神保健的支援をつなぐコホート研究「Voice Bridges Project」を、国内 11 の精神保健福祉センターで展開中です。さらに 2017 年からは、東京都医学総合研究所との共同研究として、「覚せい剤依存症に対するイフェンプロジルの効果に関する臨床研究」も実施しており、薬物依存症に対する薬物療法の開発にも挑戦しております。

2016 年 12 月の「再犯防止推進法」成立以降、薬物依存症対策はわが国喫緊の課題でありながら、医療資源不足は依然として深刻です。そうしたなかで、当センターは、厚生労働省依存症拠点機関事業における薬物依存症に関する全国拠点としての重責も担っております。今後も私たちは、臨床と研究とを車の両輪として、わが国の薬物依存症治療・支援を牽引していく所存であります。


画像:薬物依存症治療センターの定例カンファレンス風景

9.事務連絡

【ご入退会・変更等手続きについて】

周囲に当学会へご興味をお持ちの方がいらっしゃれば、是非、本学会へのご入会をお勧めください。

1)入会について

入会はホームページ掲載の「入会申込書」をダウンロードし、必要事項をご記入の上、下記事務局まで郵送・FAX・Eメール添付等でお申込みください。入会には理事会審査(1 か月に 1 度開催)が必要になるため、正式なご入会までには最大 2 か月程度お時間をいただくことがございます。
※近日入会フォームを WEB 化予定です。WEB になりましてからも同様のお手続きとなります

日本アルコール・アディクション医学会(東京事務所)
〒100-0003
東京都千代田区一ツ橋 1-1-1
パレスサイドビル (株)毎日学術フォーラム内
TEL.03-6267-4550 FAX.03-6267-4555
E-mail: jfndds@mynavi.jp
事務局営業時間:平日 10:00~17:00
※土日祝、年末年始、学術集会中はお休みいたします。

1)入会について

2)変更についてご所属、ご職名などに変更がありましたら、ホームページ掲載の「変更届」用紙をダウンロードし、必要事項をご記入の上、事務局までご連絡ください。

3)退会について

上記の事務局まで FAX、E-mail、郵送等文書に残る手段で、 ①当学会名、②退会される会員のフルネーム、③○○年度をもって退会するとの一文、の 3 点をご連絡ください。

【啓発用リーフレットについて】

当学会では「あなたの飲酒が心配です」とした、啓発用のリーフレットを 1部 30円で下記印刷所に販売委託をしております。ご希望の方は下記までご連絡ください。

  • 会社名 :畠山印刷株式会社
  • 所在地 :三重県四日市市西浦 2 丁目 13-20
  • 電 話 :059-351-2711(代)
  • FAX :059-351-5340
  • Email :hpc-ltd@cty-net.ne.jp
※学会ホームページにも同様のお知らせを掲載しております。

10. 編集後記

広報委員会 廣中直行
(LSI メディエンス)

ニューズレター第 3 巻第 1 号をお届けいたします。ご寄稿いただいた先生がたに厚く御礼申し上げます。会員の皆さまには日頃から本学会にご支援ご協力をいただき、まことにありがとうございます。

さて、今から何年か後に本学会の歩みを振り返ったとき、2018 年は記念すべき年として記憶されることになるでしょう。

すなわち本学会は本年から一般社団法人となります。法人化については鈴木先生の巻頭言と藤宮先生のご解説をご覧ください。社会的な確知度が上がると共に責任も大きくなります。また学術総会は、竹井先生率いる第 53 回学術総会が ISBRA2018(会長は樋口先生)と共同開催されます。この京都学術総会は、依存研究が生命科学の「最先端研究室」の役割を果たしてきたという竹井先生のビジョンが開花する契機として長く記憶されることでしょう。社会の情勢も大きく動いています。アルコール健康障害対策基本法に基づく基本計画が始動し始めたまさにそのとき、IR 整備法案が可決成立の見込み、そして新たに「ギャンブル等依存症対策基本法案」の登場と(6 月 30 日現在)、本学会が科学的証拠とヒューマンな配慮に基づいて対応しなければならない事態が次々に現れてきました。

正直に申し上げて、私自身にはこんな大きなテーマは荷が勝っており、実験室でラットの相手をしているときの方が落ち着くのです。このごろその機会が減って残念なのですが、学会のしっかりした運営があってこその研究と思いますので、皆さまのお力をいただいて何とか頑張っているような次第です。課題はたくさんあります。健全な財政運営はもとより、本学会の会員であることのメリットは何なのか、国際的なプレゼンスをいかに高めていくか・・・。基礎と臨床の垣根を越え、多くの領域が緊密に連携を保つユニークな学会として発展させたいと願っております。編集後記の範疇を越えてしまいました。御容赦ください。


Photo by Tsutomu Suzuki