3-2号 (2014年12月)

1. 意思決定という視点からの研究

山田清文
(名古屋大学大学院医学系研究科医療薬学・医学部附属病院薬剤部)

日本は今、合成ハーブと称する危険ドラッグの脅威に曝されています。危険ドラッグに関連した事件、事故が連日のように報道され、幻覚作用や依存性の強い危険ドラッグも出回っています。

また、人気歌手の覚醒剤取締り法違反事例にあるように、覚醒剤の乱用も引き続き大きな社会問題であり、再乱用者の増加も指摘されています。

このような状況の中、昨年 8 月には第 4 次薬物乱用防止 5 か年戦略が策定されました。これまでの薬物乱用防止対策を推進するとともに、新たな乱用薬物への対応、薬物の再乱用防止対策の強化、国際的な連携・協力の推進などが留意すべき課題として挙げられています。

厚生労働省は、指定薬物の迅速かつ効果的指定の推進、規制・取締りの強化ならびに新たな乱用薬物に関する情報提供・広報活動を的確に行うとしています。

一方、こうした物質使用障害に関連する政策が打ち出される反面、国会ではカジノを合法化する法案が検討されています。
行動依存の問題を考えると大変心配な状況です。ギャンブル障害の生涯有病率は、欧米では 1.0%以下であるのに対し、日本人男性では 8-10%に達するとの調査報告があります。

日本の大手製紙メーカー元会長がギャンブル依存症に関連した特別背任で逮捕された事件は記憶に新しいところですが、今後はギャンブル障害やネット依存などの行動依存の問題がさらに顕在化する可能性もあります。

日本は今、薬物依存・行動依存の問題で大きな分岐的に差し掛かっているのかもしれません。対応を誤ると欧米のように薬物生涯経験率が数%-10%を超えるという事態になるとも限りません。

私たちは今こそ依存研究の重要性を社会に訴えるとともに、その予防・治療法ならびに再発予防等に関する研究でリーダーシップを発揮し、社会的使命を果たす必要があると思います。

依存に関連する脳機能障害に「意思決定の異常」があります。
ニューロ・エコノミクス(神経経済学)と呼ばれる学際領域では、「ギャンブルのような不確実な状況下における意思決定の脳内メカニズム」に関する研究が活発に行われています。

薬物依存・行動依存患者の意思決定パターンは健常者とは異なることが証明され、意思決定障害と依存との関係が注目されています。

さらに、統合失調症を含む多くの神経精神疾患患者の意思決定にも異常があることも明らかになっています。

すなわち、意思決定という視点からの依存研究は薬物依存・行動依存に止まらず、他の多くの神経精神疾患に共通する脳機能障害の理解や新たな創薬標的の同定につながる可能性があります。日本における薬物依存の研究予算は欧米に比較すると極めて少なく研究者数も限られていますが、意思決定障害の研究から依存研究の新たな展開と社会に還元可能な研究成果が得られることを期待しています。

2. 2014 年度年会を終えて


左から松下幸生会長、宮田久嗣会長、成瀬暢也会長
第 26 回日本依存神経精神科学会
会長 宮田久嗣
(東京慈恵会医科大学精神医学講座 教授)

第 26 回日本依存神経精神科学会が、本年 10 月 3 日(金)から 4 日(土)にかけてパシフィコ横浜で、第 49 回日本アルコール・薬物医学会(会長 松下幸生先生、国立病院機構久里浜医療センター副院長)と第 36 回日本アルコール関連問題学会(会長 成瀬暢也先生、埼玉県立精神医療センター副院長)との合同で開催されました(平成 26 年度アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会)。本年度は、さらに、国際嗜癖医学会(International Society of Addiction Medicine: ISAM、会長樋口 進先生、国立病院機構久里浜医療センター院長)も合同開催されました。このため、国内外からアルコール、薬物、行動のアディクションの治療や研究にかかわる多くの方々にご参加いただき、国内三学会だけで 1,601 名という過去にない参加者数となりました。これも、関係者の方々の力強い御支援があったからこそと改めて感謝申し上げます。

学会の構成は、日本依存神経精神科学会と日本アルコール・薬物医学会では研究嗜好の発表が多く、日本アルコール関連問題学会では(治療)現場嗜好の発表が多いことから、お互いの特徴を生かして、興味ある発表には自由に参加できるように、前二者の学会は主として 4 階の会議場で、後者の学会は 3 階の会議場でプログラムを組みました。当学会の特別講演では、通谷メンタルクリニックの森山成彬先生に「パチンコを中心とした病的ギャンブリングの臨床」という演題で、パチンコという日本独自のギャンブルの治療を始めることになった経緯や治療の苦労話を、先生ならではの心温まるユーモアを交えながらお話しをいただきました。ご講演の後の質疑応答のときには、森山先生の御好意で、著名な文筆家である先生のサイン入りの本が質問者に贈呈され、楽しい雰囲気で会が進行しました。三学会合同シンポジウムでは、「アルコール健康障害対策基本法における“基本計画”への“提言”!」と題して、国内三学会がかかわってきた本法についての活発な議論がなされました。その他、合同年会としては、特別講演(松本俊彦先生:人はなぜ依存症になるのか?)、三学会の会長による講演、シンポジウム 13(二つのスポンサードシンポジム含む)、教育講演 7、ワークショップ 5、分科会 10 が開催されました。また、一般演題も 152 演題(口演発表 47、ポスター発表 105)にのぼる発表があり、各会場で活発な議論が行われました。

今大会のテーマは「物質と行動のアディクション~多様な時代へのチャレンジ~」でしたが、発表もアルコール、覚醒剤、脱法ドラッグからギャンブル、インターネットまで幅広いテーマが取り上げられ、その内容も治療現場の問題点や各種の治療技法の検討や研修、心理社会的アプローチから、薬物療法、最新の基礎研究(分子生物学的研究、脳画像研究など)まで多様な角度から熱い議論が展開されました。国内三学会のそれぞれの特徴が生かされた大会といえるのではないでしょうか。

学術賞受賞講演では、柳田賞を受賞された東京都医学総合研究所依存性薬物プロジェクトの池田和隆先生から「依存性物質の作用機序解明と医療応用」という演題で、池田先生がこれまで行ってこられた薬物依存、鎮痛、発達障害の研究において、分子レベルから、動物行動レベル、ヒトゲノムレベル、さらには、臨床レベルと基礎から臨床に見事に連なった最先端の研究成果を発表いただきました。 CPDD( The College on Problems of Drug Dependence)奨励賞は、川崎医科大学薬理学教室の水野晃治先生が「The role of GABAA receptors on ethanol-induced type 1 IP3 receptors up-regulation」という演題で、カルシウムチャネルが薬物嗜好性に影響を与えることから、エタノールによる GABAA 受容体とイノシトール三リン酸受容体の関係について興味深い研究成果を発表されました。

懇親会は、パシフィコ横浜に隣接するインターコンチネンタルホテルの宴会場で開催されました。ここでも、数多くの方達にご参加いただき、主催者としてはかなり広い会場を用意したつもりでしたが、全員が入りきるか心配するほどの盛況でした。
アディクションの臨床や研究は、日本ではメジャーな分野ではないと言われて久しいですが、若手からベテランまで、あるいは、臨床現場の治療者から支援者、さらには研究者まで一堂に会して発表し、意見交換するこの学会を主催させていただいて、明るく輝く未来を感じることができたのが一番の収穫でした。

来年度の本学会は、曽良一郎先生(神戸大学精神医学分野教授)を会長に、日本アルコール・薬物医学会(会長 西口修平先生、兵庫医科大学 肝・胆・膵内科教授)、日本アルコール関連問題学会(会長 堀井茂男先生、公益財団法人慈圭会 慈圭病院院長)との合同で 10 月 12 日(月)から 14 日(水)まで神戸国際会議場で開催されます。本年にもまして、奮ってのご参加をお願い申し上げます。

3. 第 16 回国際嗜癖医学会を終えて

第 16 回国際嗜癖医学会(ISAM)
大会長 樋口 進
(独立行政法人 国立病院機構久里浜医療センター 院長)

第 16 回国際嗜癖医学会(ISAM)を、パシフィコ横浜会議センターで、平成 26 年 10 月 3 日より 6 日まで開催しました。初めの 2 日間は、日本依存神経精神科学会など国内 3 学会との同時開催となりました。この期間中に国内 3 学会は、過去最多の参加者を集めたと聞いていますが、ISAM も過去最多の参加者に恵まれました。実際には、42 ヵ国から 447 名に参加いただきましたが、そのうち 169 名が日本からの参加でした。登録料が決して安くない中、多くの国内参加者に支えられ、無事に終了できたと感謝しています。

実は、シンポジウムの数も登録演題数も過去最多で、しかも、今回初めて学会前に国際誌に全演題の抄録を出版しました。特別講演にも、米国 NIAAAの Koob 所長、WHO の Poznyak 調整官、齋藤利和本学会理事長など 9 名の高名な学者を招聘できました。また、social event においても、能観劇や、学会場での生け花やお茶の実体験について、多くの参加者からお褒めの言葉をいただきました。

日本依存神経精神科学会と日本アルコール・薬物医学会からは、多くのシンポジウムに補助金を拠出いただき、心より御礼を申し上げます。これらのシンポジウムすべてが ISAM とのjoint symposium となったため、ISAM と他の学会の連携が強調されました。従来、他の学会との連携の非常に少なかった ISAM の方向性を変えるプログラムだったと思います。
ISBRA と異なり、ISAM は毎年行われます。来年 2015 年は、Scotland の Dundee で行われます。2016 年はおそらく中国、2017年は Abu Dhabi、2018 年はプサンで行われます。今後とも、ISAMに引き続き貢献頂けるように、心よりお願い申し上げます。

最後になりましたが、今回の ISAM に参加いただきました多くの本学会員の皆さまに、心より御礼申し上げます。

4. 評議員会・総会議事録

総務委員長 宮田久嗣
(東京慈恵会医科大学精神医学講座)

平成 26 年度 日本依存神経精神科学会 評議員会・総会が2014(平成 26)年 10 月 3 日にパシフィコ横浜にて開催されました。議事録の内容を以下にお示しいたします。

日 時 :
2014 年 10 月 3 日(金)10:30~11:00
会 場 :
パシフィコ横浜 5F ROOM16( 会議室 511+512)

宮田会長より、開会宣言がされた。会則により議長は会長が務める。

1.年会長挨拶(宮田年会長)

宮田年会長より、年会開催にあたっての挨拶があった。

2.会務報告(宮田総務委員長)

宮田総務委員長が、現状の会員数報告(合計 321 名)、企業賛助会員、会議日程について報告した。特に統合会議については、参加メンバーや開催場所、日程等を詳細に報告した。
樋口賞選考委員長が欠席のため、宮田総務委員長が受賞者について報告した。

CPDD 奨励賞 水野晃治(川崎医科大学 薬理学教室)
柳田賞 池田和隆(東京都医学総合研究所)
APSAAR2014 若手優秀発表賞 伊藤満(久里浜医療センター)

各委員会より以下の報告があった。

国際委員会―高田委員長 今年度のスポンサードシンポジウム等について報告した。

広報・編集委員会―池田委員長 ニューズレター発行状況について報告した。

統合委員会―廣中委員 委員会開催状況と基本案について資料を示すとともに、特に昨日の統合会議と各理事会で決定した変更点(下線部)について説明した。

  • 目的部分:~アルコール及び薬物・嗜好品・行動の依存~
  • 役員部分:理事 10 名以内→理事 20 名以内
    理事長指名理事若干名→理事長指名理事 3 名以内
    任期は 4 年とし、再任を妨げない
    →任期は 4 年とし、継続して 2 期まで
  • 評議員部分:~または本会の目的の沿って~
    →または本会の目的に沿って
  • 会費部分:(細則)以下年額:正会員 7,000 円、評議員 12,000
    円、理事・監事 15,000 円、賛助会員一口 20,000 円、維持施設
    会員一口 30,000 円、学生会員は 3,500 円
また、日本アルコール・医学会(以下、アル薬)で発行している学会誌や、当学会(以下、依存学会)で発行しているニューズレターに関しては、編集はいままでどおり各事務局の担当者が行うため、事務局は毎日学術フォーラム内(現・依存学会事務局)におかれるが、その部分においては、アル薬事務局の事務局員も据え置かれることになると説明した。

宮田理事より会費はアル薬に合わせているが、合併後はアル薬の学会誌事業を継承していくため、メリットも多いが、依存学会会員としては、会費負担は増えることになるとの説明があった。齋藤理事長よりこれまでの合併準備の経緯が述べられ、今後の展望について説明があった。一同拍手をもって承認した。

3.2013 年度決算報告 2014 年度予算案審議(廣中財務委員長)

廣中財務委員長が、理事会にて承認済みの 2013 年度決算書ついて説明した。

特徴として、国際事業の CINP KL とアプサー2014 があったため、これらについては一般会計に組み込まず特別会計としたことが説明された。また監査を高田監事と堀井監事に依頼し、問題ない旨報告書をいただいたことを報告した。

高田監事より監査の完了報告があり、一同検討の結果承認した。
また、2014 年度予算について一同検討し、承認した。

4.賞選考委員会より柳田賞、各種奨励賞について

議題 2 で報告済み。

5.統合委員会より

議題 2 で報告済み。

6.次期年会長挨拶(曽良次期会長)

2015 年度の曽良次期年会長より挨拶があった。

会期:
10 月 12 日(月・祝)~14 日(水)
場所:
神戸国際会議場

次回も3学会合同で行われる予定であり、それぞれアル薬が第50 回、関連問題学会が第 37 回、依存学会が第 27 回の学術総会になるとの説明があった。

合同学術総会の事務局は、費用の関係等で関連問題学会会長の慈恵病院内に置かれる予定と報告された。

堀井監事が、依存学会の名称の一部に誤記があると説明しつつ、来年の合同学術総会についてのチラシを配布した。

7.次々期年会長選出(齋藤理事長)

齋藤理事長より、次々回以降の年会長を検討するにあたり、東京の内科の先生にご検討を依頼しているところであるため、最終的な決定は理事長に年会長一任をお願いしたいと述べられた。満場異議なく可決、承認された。

8.その他

齋藤理事長より、このたびの宮田会長が合同学会との調整や資金集めで大変ご苦労され、盛大な学会を開催してくれたことに対し、心から謝意を表したいとの発言があった。

以上

5. 統合前企画 1:日本アルコール・薬物医学会

大熊 誠太郎
(川崎医科大学 薬理学教室)

日本アルコール・薬物医学会(Japanese Medical Society of Alcohol and Drug Studies)は、臨床医学、基礎医学、社会医学その他関係分野の学際的協力の下に、アルコール及び薬物依存に関する研究の進歩並びに知識の普及、情報の提供等をはかり、もって学術、文化の発展に寄与することを目的とします。

そもそも本学会は 1965 年(昭和 40 年)11 月 3 日に小片重男教授(京都府医大・法医)、加藤伸勝教授(同・精神)、栗山欣弥教授(同・薬理)、増田正典教授(同・第三内科)(五十音順)により「アルコールを楽しく飲めるような研究をしよう」と言うことで設立が提唱され、日本アルコール医学会として設立されました。その後、1996 年(平成 8 年)1 月 1 日より団体名称を現在の日本アルコール・薬物医学会に変更しました。

学会運営事業内容としては、第一回学術集会が会長小片重男教授のもと、京都にて開催されて以来、年一回の学術集会を兼ねた総会が開催されており、近年では日本依存神経精神科学会及び日本アルコール関連問題学会との合同学術集会がほぼ毎年開催されております。

この合同集会では、市民公開講座、日本医師会認定産業医研修会、日本医師会生涯教育講座、薬剤師研修認定講座等も同時開催しております。単独で学会開催していた時期を含め、学術集会発表演題より学会優秀演題賞(※)を選定し、賞状ならびに副賞を授与しています。また、機関誌として『日本アルコール・薬物医学会雑誌』(ISSN 1341-8963)を年 6 回発行しており、同誌に掲載された英文論文は PubMed にも掲載されています(最近は欧米からの別刷請求が編集部に複数来ています)。さらにこの学会誌に掲載された論文より毎年学会優秀論文賞(※)を選定し、学術集会において賞状ならびに副賞を授与しています。

本学会は国際アルコール医学生物学会(ISBRA:International Society for Biomedical Research on Alcoholism)と提携しており、近年では 2012 年の平成 24 年度アルコール薬物依存関連学会合同学術総会において第 16 回国際アルコール医学生物学会と共同で開催いたしました。

このように本学会は学際的分野からの多数の研究者がそれぞれのアルコール・薬物依存関連問題に関わる学術的な基礎および臨床研究成果を発表し、研究者相互の研究の進展のみならず、研究成果を社会に発信し社会医学的貢献を行うなど、我が国のアルコール・薬物依存関連問題の解決に多大な役割を果たしており、今後の本学会のこの役割の重要性は増すものと思われます。※基礎研究より1題、臨床研究より1題の計2題

6. 統合前企画2:統合委員会報告

廣中 直行
(LSI メディエンス 熊本研究所)

日本依存神経精神科学会(以下、当学会)は、日本アルコール・薬物医学会(以下、JMSAS)との統合・対等合併を目指して検討を重ねてきた。

すなわち、両学会の理事長である(以下敬称略)齋藤利和、当学会より池田和隆、宮田久嗣、廣中直行、JMSAS からは大熊誠太郎、白石光一、藤宮龍也、松下幸生が統合委員に選ばれて折衝を重ねた。

本年 5 月 25 日には、東京の晴海で合宿形式によって、また10 月 2 日には横浜の第 26 回当学会に合わせて統合委員会が開かれた。2 回の委員会やメールによる連絡等によって、新しい学会の姿が見えてきた。

新学会は、日本アルコール・アディクション医学会(英文名JMSAAS)と称する。この学会はアルコールや依存性薬物に加えて嗜好品から非物質嗜癖まで、幅広く依存・嗜癖問題を研究する学会となる。

会員は正会員、名誉会員、功労会員、賛助会員、維持施設会員、学生会員で構成され、斯界における長年の功績と若手の育成の両方向を見据えたものになっている。

常置委員会として編集委員会、総務委員会、広報委員会、倫理・COI 委員会、専門医委員会、学術賞選考委員会、国際委員会運営委員会を置き、依存・嗜癖問題に関心を寄せる医師・医療関係者を支援し、国際的なプレゼンスを高める体制を取る。

新しい学会は文字通り我が国における依存・嗜癖の基礎・臨床両面にわたる専門家の力を結集したものとなり、ここに関連諸学会の大同団結に向けた大きな歩みが達成されるわけである。

当学会には先に日本アルコール精神医学会とニコチン・薬物依存研究フォーラムの統合を実現した先例がある。お互いの歴史を尊重しつつも過去にとらわれず、同じ目標を目指して大局的な見地から専門家の力を結集することにかけては、日本で唯一と言える実績を積んでいるわけである。

細部には未解決の問題があり、新しい学会が船出した直後には山にも谷にも遭遇することであろうが、当学会から新しい動きを作り出して行きたいと思う。各位のご助力をお願いする次第である。

7. 第 4 回柳田知司賞を受賞して

池田 和隆
(公益財団法人 東京都医学総合研究所)

この度、学会最高賞の柳田知司賞を受賞することとなり、身に余る光栄なことと思います。世界の依存研究を先導された柳田先生のお名前を冠とした賞ですので、大変緊張いたします。
柳田先生のお名前に傷がつかないよう、受賞者の一人として今後も気を引き締めて依存研究に邁進して参りたいと思います。受賞課題名の「依存性物質の作用機序解明と医療応用」は、現在私が主宰している研究室のプロジェクト名とほぼ同じですので、研究室のメンバーの力を結集して得られた成果が評価され、研究室員全員でいただいた賞だと思っております。

依存性物質は、医学的にも社会的にも深刻な問題である依存症や精神病症状を引き起こす一方、疼痛や発達障害の治療薬として医療現場で役立てられています。私共の研究プロジェクトでは、様々な依存性物質の作用機序の解明を進め、その成果の医療応用を通して依存問題への対策と疼痛および発達障害の予防・治療法の向上を目指しております。

薬物依存研究では、幻覚剤であるフェンサイクリジン(PCP)の作用発現において NMDA 受容体チャネルの GluN2D サブユニットが必須であること(Hagino et al, PLoS ONE, 2010; Yamamoto et al, Mol Brain, 2013)や、様々な依存性物質の脳内シグナル伝達において重要な役割を果たす G 蛋白質活性型内向き整流性カリウム(GIRK)チャネルを阻害するとマウスおよびヒトにおいてオピオイド感受性やメタンフェタミン嗜好性が減弱する可能性 (Kobayashi et al, Nat Neurosci, 1999; Takamatsu et al, Curr Neuropharmacol, 2011; Sugaya et al, J Drug Alcohol Res, 2013 など)、ドーパミンが欠乏すると多動を示し、その多動はハロペリドールなどの抗精神病薬では全く抑えられず、クロザピンで抑えることができること (Hagino et al, Neuropsychopharmacology, in press)などを見出しました。

疼痛研究では、オピオイド性鎮痛薬に対する感受性個人差の遺伝子メカニズムを研究しており、鎮痛薬感受性が減弱している CXBK マウスというマウス系統ではミューオピオイド受容体遺伝子の非翻訳領域にトランスポゾンが挿入されていてこの遺伝子の発現が減弱していることを見出しました(Ikeda et al, J Neurosci, 2000; Han et al, Pharmacogenet Genomics, 2006)。
そこで、ヒトゲノム解析を行い、ミューオピオイド受容体、GIRKチャネル、カルシウムチャネル、P2X7 受容体など、疼痛や鎮痛のシグナル伝達経路の分子の遺伝子多型が鎮痛薬感受性と関連することを見出しました(Ikeda et al, Trends Pharmacol Sci,
2005; Hayashida et al, Pharmacogenomics, 2008; Fukuda et al, Pain, 2009; Nishizawa et al, PLoS ONE, 2009; Ide et al, Mol
Pain, 2014 など)。さらに、ゲノムワイド関連研究(GWAS)を実施して、CREB1 遺伝子の近傍の多型がオピオイド感受性、依存脆弱性、および CREB1 遺伝子発現と関連することが明らかになりました(Nishizawa et al, Mol Psychiatry, 2014)。これらの成果を基にテーラーメイド疼痛治療を開始しております。

発達障害研究では、ドーパミントランスポーター欠損マウスが典型的な注意欠如多動性障害のモデル動物であることを見出しました(Takamatsu et al, Curr Mol Med, in press)。また、結節性硬化症のモデル動物が自閉症様行動を示すこと、およびその異常行動がラパマイシンによって回復することを見出しました(Sato et al, Nat Commun, 2013)。

このような基礎研究と臨床研究を様々な共同研究機関と進めることができているのは、日本依存神経精神科学会をはじめとする学会での共同研究者との出会いによるところがほとんどです。私は工学部の出身なので、医薬系の研究分野では人的ネットワークが乏しかったのですが、学会活動を通じて、医学部や薬学部をご卒業の先生方と変わらないほどの人脈を築くことができ、このような多くの共同研究を実施できております。

特に、柳田知司先生には目をかけていただき、2008 年には依存神経精神科学会の前身の一つのニコチン・薬物依存研究フォーラムの理事を拝命いたし、2011 年には年会長を務めさせていただきました(写真1)。このような活動を通して、共同研究が可能となり、研究を展開することができております。柳田先生をはじめ、ご支援下さっている多くの皆様に心より感謝申し上げます。


写真 1:2011 年アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会での招聘講師との懇親会
後列左より、齋藤利和アルコール精神医学会理事長(当時)、尾崎紀夫 アルコール精神医学会 2011 年会長、鈴木勉アルコール・薬物医学会理 事長(当時)、山田清文アルコール薬物医学会 2011 年会長、池田和隆ニコチン・薬物依存研究フォーラム 2011 年会長。
前列左より、David Goldman NIAAA 部長、Athina Markou UCSD 精神科教授、柳田知司ニコチン・薬物依存研究フォーラム理事長(当時)。

8. 学会印象記: CPDD2014 in Puerto Rico
~奨励賞受賞者から~

水野晃治
(川崎医科大学 薬理学教室)

この度、2014 年 6 月 14 日から 19 日までプエルトリコのサンファンにおいて開催された The College on Problems of Drug Dependence (CPDD) 76th Annual scientific Meeting に参加しました。私自身、初めての海外での国際学会への参加となり期待と不安の入り混じった奇妙な興奮をもって日本を発ちました。

成田空港からサンファンまで星薬科大学の芝崎先生と共に向かう予定でしたが、成田空港で芝崎先生と待ち合わせるも搭乗予定の便が異なることが発覚し、別々に現地へ向かうこととなってしまいました。海外旅行経験も乏しかったものでトランジットの方法もわからず、慣れない英語を駆使し、人の流れに従って歩くことで無事に現地へ到着することができました。
開催地であるプエルトリコはカリブ海に囲まれた非常に景色の美しい島国でした。エメラルドグリーンの波が打ち寄せる白浜はまさに絶景でした。また、会場から西へ移動するとオールドサンファンと呼ばれる街並みが並びパステルカラーの建物が並ぶ華やかな通りとなっており、しばらく夢の中にいるような気分に浸ることもできました。

初日の夜は、会場であるカリブヒルトンのプライベートビーチにおいて前夜祭が盛大に行われました。しかしながら、前夜祭では、初めて参加する海外での国際学会ということもあり緊張がピークに達していて積極的に話すことができませんでした。2 日目以降は、早朝から朝食を兼ねたポスターセッションが行われ、一般演題・シンポジウム・ワークショップなど非常に内容の濃いプログラムとなっていました。初日はなかなか耳に慣れなった英語も段々と聞き取れるようになりましたが、口頭発表では、聞き取るのに一生懸命で内容も理解できずに苦労いたしました。3 日目の朝のポスターセッション時に一人で朝食をとっていたところ、突然中国語で話しかけられ、さすがに何を言っているのか理解できずに、「I’m Japanese.」と答えたところ、英語での会話に切り替わり、しばらく談笑することができました。この経験により、ポスター会場で質問することに抵抗がなくなり、積極的に質問し、議論を深めることができました。

今大会におきましては、口頭発表演題、ポスター発表演題ともにエナジードリンクとアルコール依存との関連性やマリファナ依存の演題が数多く認められ、日本における薬物依存の問題、特に近年における危険ドラッグの濫用問題とは異なった薬物依存の現状があるのだなと実感いたしました。

私のポスター演題発表にも、何人かの先生方に興味を持っていただき、色々とご質問をいただきました。慣れない言語での説明に四苦八苦しながら、また汗だくになりながらも一生懸命説明を行い、気が付けばあっという間に時間が経ち、セッションの時間も残りわずかとなっておりました。

ポスター発表が終わるころには写真のように汗だくで髪の毛もおでこにべったりと張り付いてしまうような状態でした。

しかしながら、母国語以外で研究を細部まで説明することの難しさも学ぶとともに新しい角度からの意見もあり非常に貴重な経験となりました。日中の白熱した議論のあとは、懇親会としてテーブルを囲んでの会食やアリーナでのダンスパーティーが催されました。研究発表を行い、議論を深めた後はパーティーを思い切り楽しもうという、on and off のスイッチがあるかのような海外の姿勢に新たな刺激を受けながらも、御年輩の先生方が華麗にダンスをする姿を見て、私も負けていられないと、ダンスフロアに飛び込んでダンスを楽しみました。

今大会を通じて、海外の先生方のアクティビティの高さ、また、何かを吸収していこうとする貪欲な姿勢を目の当たりにし、私も学会参加時には積極的に質疑の場に立ち、実のある議論をしていきたいと改めて感じました。

最後に若手賞という形でこのような貴重な経験を支援してくださいました本学会理事長齋藤利和先生をはじめ本賞選考委員の先生方に深く感謝申し上げます。

9. 学会印象記:APSAAR2014 に参加して
~若手優秀発表賞受賞者から~

伊藤 満
(独立行政法人 国立病院機構久里浜医療センター)

2014 年 4 月 24 日から 4 月 27 日まで、上海で開催された The 3rd Congress of Asia-Pacific Society for Alcohol and Addiction Research (APSSAR2014)に参加いたしました。外国の空港へ到着すると、ホテルへの移動手段に悩まされることがあります。しかし、今回は往復とも学会が車を手配してくれましたので、同じフライトで羽田から到着した先生方と一緒に、会場である「上海光大会展中心」(Shanghai Everbright Convention & Exhibition Center)へ向かいました。空港から 30 分ほどのドライブ中は、晴れているはずなのに霞んでいる空や、クラクションを鳴らしながら自動車の合間を縫うように走るバイクをみることで、中国へ来たのだという実感がわいてきます。このときは TV などでさかんに pm2.5 が取り上げられていた時期ということもあり、車に乗り込むとみんな日本から持参したマスクを取り出しました。ひょっとしたら中国のスタッフには、マスク姿の日本人が奇異にみえたかもしれません。

国外で開催される学会に参加した際は、セッションの合間に現地の町中に繰り出すことが楽しみのひとつになろうかと思います。しかし、今回は学会会場が上海の中心部から少し離れたところに位置していたため、ほとんどの時間をホテル内で過ごすことになりました。その一方で、ホテルに缶詰めになっていたおかげで、日本から参加された先生方と交流させていただく機会を多くもつことができました。依存の研究と臨床とをリードされている先生方とお話しする機会をいただけたことは、私にとってはとても貴重な経験になったと感じています。

APSSAR2014 は中国の国内学会である The Fourth Chinese Alcohol and Drug Abuse Congress との合同開催でした。いずれの参加者にも発表内容が理解できるようにとの配慮なのでしょう、すべてのスライドが中国語に(国内学会のスライドは英語に)翻訳され、会場では同時に 2 枚のスライドが映写されるようになっていました。また、抄録もスライドと同様にすべて翻訳がなされていました。一般演題の発表は、国内学会と APSSARとが同じ部屋で行われました。私が発表したセッションでは、6 演題中 4 演題が中国語による発表でしたので、中国語の発表を聞きながら自分の順番を待つことになりました。質疑の時間には活発なディスカッションが行われ、中国語がまったくわからない私の頭の中は「?」で埋め尽くされておりましたが、アウェーに立たされたことによるちょっとした疎外感と、外国へきていることへの実感とが入り混じった、少し不思議な感覚を体験することができました。中国語での発表の詳細は分かりませんでしたが、漢字で書かれたスライドをみていると「きっとこういう内容なんだろう」と想像することができましので、中国と日本との文化的なつながりを感じることもできました。

今回の学会発表にあたり、日本依存神経精神科学会からAPSAAR2014 若手優秀発表賞を頂戴いたしました。発表のタイトルは“Poor coping skills as a risk factor for the development of alcohol use disorders: Using the alcoholics with inactive ALDH-2 model”というものであり ALDH2 の活性型と非活性型との比較を通して明らかになったアルコール依存症のリスク要因としてのパーソナリティの特徴について報告させていただきました。

用意した台本を棒読みするだけの拙い発表ではありましたが、非活性型 ALDH2 に焦点を当てた東アジアならではの研究とういことで、中国の先生にも興味をもっていただき、発表後に激励のコメントをいただくことができました。学会期間を通して、有意義な時間を過ごせたと感じています。賞をいただいたことはもちろんのことと、APSSAR2014 で経験したことを励みとして、今後も研究と臨床とに取り組んでまいりたいと思います。

10. 賞選考委員会より

賞選考委員会委員長 樋口 進
(独立行政法人 国立病院機構久里浜医療センター)

会員の研究活動や海外での活躍を促進・支援するは本学会の大きな使命の一つです。特に、若手研究者の海外学会での発表や国際交流を促進するために、本学会は支援の枠組みを拡大してきています。しかし、このような情報が会員に周知されていないためか、学会が設定した各賞に対する応募が少ない状況にあります。そこで、本ニューズレター(以下 NL)において、最近の受賞実績や、応募状況を改めてお知らせします。

【受賞報告】

1. 第 4 回柳田賞

柳田知司賞はニコチン、アルコール、薬物依存関連分野で独創的、飛躍的な業績をあげ、この領域における研究の発展に大きく貢献した会員に授与されます。2011 年に第 1 回の受賞者を輩出し、昨年の第 3 回は、星薬科大学の森友久先生が受賞しています。今年度の第 4 回柳田賞には 2 名の応募があり、どちらの申請者も大変優秀な方でしたが、会員歴や学術活動の幅広さなどを勘案し、東京都医学総合研究所の池田和隆先生に受賞が決定いたしました。受賞報告は 2014 年 10 月 3 日に、また同日の会員懇親会において表彰が行われました。今後とも池田先生にはわが国の依存科学を牽引する若きリーダーとしてのご活躍を期待しております。

2. 国際学会参加奨励賞(若手研究者対象)

本学会では、以前から CPDD (College on Problems of Drug Dependence)に参加する若手研究者に奨励賞を出しています。本学会の若手研究者育成の使命を踏まえ、今年度は APSAAR2014に若手優秀発表賞を設けました。選考の結果、以下の先生方が受賞されました。
1) CPDD 奨励賞 2014 年度受賞者 水野 晃治 先生(川崎医科大学)
2) APSAAR2014 若手優秀発表賞 伊藤 満先生(国立病院機構久里浜医療センター)
お二人の受賞者には、本 NL3-2 号にて、学会印象記の形で受賞のご報告をして頂いておりますのでp7~8 をご覧ください。

【新規募集案内】

1. 第 5 回柳田賞

2015 年度は第 5 回柳田賞を募集いたします。詳細はHPにございますので、ご覧ください。多数の応募をお待ちしております。

2.CPDD 奨励賞

本年も CPDD 奨励賞を募集いたします。すでにお送りしましたご案内では 12/20 を締め切りとしておりましたが、理事会にて規程の変更をいたしましたので、応募締め切りを 1/31 まで延長しております。同封の要項をご覧頂き、多数の応募をお願いいたします。

3.その他 国際学会参加奨励賞(若手研究者対象)

今年度も CPDD のほか、いくつかの若手優秀発表賞を設ける予定です。詳細は国際委員会にて検討後決定いたしますので、別途HP や NL 等でご案内いたします。

11. 国際委員会より

国際委員会委員長 高田 孝二
(帝京大学 文学部)

本学会は、齋藤理事長が CINP(Collegium Internationale Neuro-Psychopharmacologicum)副会長(vice-president)の要職を担われている ことを始めとして、樋口 理事が ISBRA( International Society for Biomedical Research on
Alcoholism)会長(齋藤理事長は前会長)、池田理事は AsCNP(Asian College of Neuropsychopharmacology)事務局長を勤められるなど、海外と積極的に関わり、リードしてきたといえます。

したがって本学会は臨床を含めた、わが国の依存神経科学の国際的プレゼンスを高め、加えて、この分野を担う若手の臨床家や研究者の育成を図るには絶好の環境にあるといえます。このような目的の実現のため、学会賞として CPDD や ISBRA など関連国際学会への参加補助を行っているほか、2013 年のクアラルンプールでのCINP や 、 本年 4 月の 上海における APSAAR(Asia-Pacific Society for Alcohol and Addiction Research)などにおいて sponsored symposium を開催するなど、鋭意努力しております。

来年も以下の多くの関連学会が予定されています(枠内、開催日順)。これらの学会に積極的に参加いただき、その成果を本学会にフィードバックし、本学会を盛り立てていただくことを期待しております。

  • ASPET (American Society of Pharmacology and Experimental Therapeutics): 3/28-4/1, Boston, USA
  • CPDD: 6/13-18, 2015, Phoenix, USA (in conjunction with International Narcotics Research Conference, 6/15-19)
  • RSA (Research Society on Alcoholism): 6/20-24, 2015, San Antonio, USA
  • APSAAR: 8 月 Australia(詳細未定)
  • ISAM (International Society of Addiction Medicine): 10/04-08, Dundee, UK
  • AsCNP: 11/21, 22, Taipei, Taiwan

12. アル法関連最新情報

~アルコール健康障害対策基本法は、新たな動きの数々を生み出している~

猪野 亜朗
((医)山下会 かすみがうらクリニック)
堀井 茂男
(財)慈圭会 慈圭病院

前号において、5 月 25 日に開催された「基本法推進の集い in 東京」までを記述した。それ以降の推移を報告する。

1.アルコール健康障害対策基本法の規定に基づく関係者会議の委員決定

10 月 30 日、基本計画を策定するために、専門家や当事者や家族による関係者会議の構成が発表された。

精神科医:
樋口進(会長)、猪野亜朗、杠岳文、田辺等
内科医:
堀江義則
日本医師会:
松本純一
公衆衛生医:
尾崎米厚
看護関係者:
松下年子
福祉関係者:
中原由美
学校関係者:
渡邉祐美子
当事者:
大槻元、月乃光司
家族:
西原理恵子
アスク:
今成知美
メディア研究者:
見城美枝子(会長代行)
酒類業界関係者:
坂田辰久、友野宏章

(以上、敬称略)

2.基本法に基づく「啓発週間」に関連した国の取り組み

(1)啓発ポスターとリーフレットを制作

  1. ①25 万枚の啓発用のポスターが学校、酒類販売事業場(酒販店やコンビニ)、自動車教習所、警察、関係省庁、都道府県などに配布され、実際にコンビニ、学校などでの貼付が報告されているが、どこまで徹底したかは不明である。
  2. ②3 万部の啓発リーフレットを関係 6 省庁で制作。関係省庁、都道府県、関係団体などに配布。

(2)東京、大阪においてフォーラムが開催される。

基本法に定めた啓発週間に合わせて実施された。

  1. ①11 月 10 日、「アルコール関連問題啓発フォーラム in 大阪」
    • 基調講演「基本法がめざす社会―基本法と地域関係機関の連携―」:辻本士郎氏
    • 大阪の関係者からの現状報告:東大阪市保健所、大阪府医師会など
    • 当事者の体験発表
    • 絵本朗読:ボクのこと忘れちゃったの?―お父さんはアルコール依存症―
    • 啓発劇:劇団いちご
    • 講演「ドイツにおけるアルコール対策の取り組み」:豊山宗洋氏 主催:内閣府・大阪府 参加総数:530 人
  2. ②11 月 12 日、「アルコール関連問題啓発フォーラム in 東京」
    • 講演「家族の気付き」:東ちづる(女優)
    • 当事者の体験発表
    • イッキ飲み・アルハラ防止キャンペーン:事業者・学生の連携による
    • 講演「アルコールとうつ・自殺“死のトライアングル”を防ぐために」:松本俊彦氏 主催:内閣府 参加総数:350 人

3.アルコール健康障害対策基本法、啓発週間に合わせた地方での取り組み

(1)2014 年 10 月 26 日、「アルコール健康障害対策基本法推進の集い in 青森」

主催:東北アルコール関連問題研究会

(2)青森以外には、北海道、秋田、山形、仙台、栃木、静岡、愛知、三重、広島、鳥取で実施された。今後、和歌山、奈良、北海道が計画されている。

(3)先行する鳥取県での取り組み

6 月 24 日、鳥取県議会において、福間裕隆県議が自らの酒害体験を報告した後で、基本法について平井知事が答弁。アルコール健康障がい対策検討委員会を立ち上げた。

「県のアルコール健康障がい対策を審議し、県のアルコール健康障がいをより実効性のあるものにする」ことを目的に、「県内のアルコール健康障害の現状と課題」、「県のアルコール健康障がい対策推進計画の検討、策定」「県が行った事業の検証、方針の修正」を調査審議するために、専門家、医療関係者、酒類事業者などで構成する上記委員会を立ち上げた。

(4)地域に根ざした三重県での取り組み

  1. ① 「障害福祉課」が基本法の窓口として様々な取り組みを進めている。
  2. ② 県議会で県内の取り組みについて質問―知事答弁が始まる。
  3. ③ 「5市1町の広報紙」が「アルコール関連記事」を掲載する。
  4. ④ 県医師会・四日市医師会の会報に基本法関連記事を掲載する。
  5. ⑤ メディアが社会の意識を変える役割を果たし始める。
  6. ⑥ 三重産業医会・三重県が、従業員の飲酒問題への対応の研修会を開始する。
  7. ⑦ 三重いのちの電話・尾鷲保健所が啓発週間に合わせて講演会を企画
  8. ⑧ 飲酒運転ゼロを目指す県条例強化を引き続き取り組む企画
  9. ⑨ 11 月 30 日、「基本法推進の集い in 三重」
    三重県庁講堂にて、知事、県議会議長も参加して、講演、絵本の朗読に続き、医師会、三重県環境生活部交通安全・消費生活課、三重命の電話協会、三重断酒新生会、女性と子どものヘルプライン・MIE、四日市アルコールと健康を考えるネットワークがメッセージを提示した。350 人参加。

(5)奈良県での取り組み

  • 奈良県民報においてアルコール特集
  • アルコール対策のプロジェクトチームを立ち上げる

4.学会の取り組みと今後の課題

(1)2014 年 10 月 3 日、横浜 3 学会合同シンポジウム「アルコール健康障害対策基本法における“基本計画”への“提言”!」を開催

学会が基本計画への提言をまとめていく作業を行った。

第1部:回復を支援する機関から基本計画への提言

第1部司会:堀井茂男(医師)、山本由紀(PSW)

  1. ① プライマリケア医の立場から:伴信太郎(総合診療医)
  2. ② 一般医療機関(内科・救急等)の立場から:中尾春寿(消化器内科医)
  3. ③ 一般医療機関(精神科)の立場から:小松知己(精神科医)
  4. ④ 産業保健領域の立場から:廣尚典(産業精神衛生医)
  5. ⑤ 専門治療機関の立場から:和気浩三(精神科医)
  6. ⑥ 精神保健福祉センターの立場から:太田順一郎(精神科医)
  7. ⑦ ASK から:今成知美(アスク)
  8. ⑧ 自助グループから:大槻元(全日本断酒連盟)
第2部:多職種・多機関・地域連携についての基本計画への提言

第2部司会:猪野亜朗(医師)、稗田里香(MSW)

  1. ① 飲酒運転問題を通した連携:福岡から:熊谷雅之(精神科医)
  2. ② 一般医療機関内における多職種連携:原田とも子(MSW)
  3. ③ 行政機関を含めた連携:東大阪市から:橋本求(相談支援専門員)
  4. ④ 地域における多機関連携:三重・四日市から:片岡千都子(MSW)
  5. ⑤ 大都市における連携:東京から:垣淵洋一(精神科医)
  6. ⑥ 過疎地における連携:北海道から:白坂知信(精神科医)

(以上、敬称略)

(2)関東ブロック圏の学会組織を

基本法が制定され、国と都道府県単位の取り組みが進められようとしている現在、首都圏・関東圏における学会員やアルコール医療に取り組んでいる専門家の横断的な情報交換の場や研究発表の場、ネットワークの形成促進の場が不可欠と考える。3学会が合同してこの課題に応えていかないと、国の取り組みでも関東圏の地方自治体の取り組みでもネガティブな影響を与えると懸念される。

(3)SBIRT への診療報酬、専門医制度、研究支援体制に関する討議を

一 般 医 療 機 関 に お け る SBIRT(Screening,Brief Intervention,Referral to Treatment)に診療報酬を策定することで、「危険な飲酒」「アルコール依存症」の患者への早期介入・早期治療が可能になってくる。日本にはまだ十分なエビデンスがないし、一般医療機関内に SBIRT を実施できる院内システムも形成されていない。また、一般医療機関と専門治療機関の間の連携も殆ど形成されていない。

このような課題に応えることを早急に実施していく必要性が生じている。

また、「人材育成」の課題として、学会が主導する専門医制度が必要と考える。

「調査・研究」についても、研究についての学会員の要望をまとめる作業を行い、国の方針に反映する必要がある。


11 月 10 日、「アルコール関連問題啓発フォーラム in 大阪」にて辻本士郎医師の基調講演

13. 危険ドラッグによる交通事故の発生について

舩田正彦
(国立精神・神経医療研究センター)

1.危険ドラッグという存在

近年、危険ドラッグの乱用が拡大しており、意識障害や呼吸困難などにより救急搬送されるなど健康被害が多発している。同様に、危険ドラッグ乱用に基づく交通事故が頻発し、大きな社会問題となっている。

わが国では、覚せい剤や麻薬などの違法薬物は、「覚せい剤取締法」「麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)」「薬事法」などそれぞれの法律によって厳格に規制されている。この法律は薬物の化学構造ごとに厳密に規定される。危険ドラッグは、上記の法律で規制されている薬物の化学構造とは一部異なる薬物がほとんどであり、未規制の薬物として法律の網の目を巧妙にすり抜け販売されている。

危険ドラッグの販売戦略として、「芳香剤、ビデオクリーナー、観賞用植物、研究用試薬」などと称し使用目的を偽装しているため、対策が難しい状況もある。

2.危険ドラッグの種類

危険ドラッグ製品の形状は大きく3タイプあり「パウダー系=粉末」、「リキッド系=液状」および「植物系=植物片に混在(いわゆる脱法ハーブ)」が流通している。

すべての製品には中枢作用を示す薬物が含まれており、この混在する薬物自体が様々な健康被害の発生に関わっている。

特に、植物系の製品には主に大麻と類似の作用を示す化学成分「合成カンナビノイド」が含まれており、強力な作用を示す危険性を有する。合成カンナビノイドの作用点は生体に存在するカンナビノイド受容体である。現在のところ、カンナビノイド受容体はカンナビノイド CB1 受容体およびカンナビノイド CB2受容体の存在が明らかになっている。カンナビノイド CB1 受容体は主に中枢神経系に分布しており、カンナビノイド CB2 受容体は主に免疫担当細胞に存在していることが確認されている。脳内のカンナビノイド CB1 受容体の分布としては、大脳皮質、海馬、線条体などに存在しており、陶酔感、多幸感などの情動、記憶および認知機能の調節に関わるとされる。
このように脳内カンナビノイドCB1 受容体は、中枢作用の発現において重要な役割を果たしており、特に薬物乱用や運動機能調節に関わると考えられている。

3.カチノン系化合物

一方、覚せい剤と類似の中枢興奮作用を示す「カチノン系化合物」の混在も確認されている。「バスソルト(入浴剤)」などと偽装されて販売されている場合が多い。カチノン系化合物としては、mephedrone、methedrone、α-PVP および MDPV などが検出されている。

海外では、mephedrone および MDPV は粉末状のバスソルトとして販売されており、その強力な興奮作用に基づく交通事故の発生との関連性が示唆されている。カチノン系化合物は、覚せい剤と同様に脳内ドパミン神経系の制御などを通じて中枢興奮作用、陶酔感を示すとされる。

こうした薬物が混在した製品を乱用することを契機に、薬物乱用が止まらない、薬物依存症に陥る危険性は極めて高いと考えられる。

4.危険ドラッグと交通事故の関係

自動車の操作に関して考えてみると、正常な運転をするためには、周りの状況を瞬時かつ的確に判断し、ハンドル操作等を行う事が必須である。

危険ドラッグ等の意識障害や運動機能に異常を来す薬物を摂取し、自動車を操作することは事故発生のリスクが高まる。

動物実験において、合成カンナビノイドはカタレプシー様無動状態を引き起こすことが報告されており、一方、カチノン系化合物は強力な運動促進作用を示し、双方とも運動機能に対する効果は強力である。

したがって、合成カンナビノイドやカチノン系化合物等の危険ドラッグを含む製品を乱用して自動車等の操作を行うことは極めて危険な行為である。

現在までに、危険ドラッグの有害作用は広く報道されている。しかしながら、交通事故が多発する背景には、薬物使用が止まらない「薬物依存症」が存在する可能性を考慮する必要がある。すなわち、薬物依存症である場合、断薬による薬物摂取欲求により、「購入直後に車内で使用」、「事故の発生」という悪循環が起きている事が推察される。

こうした観点から、危険ドラッグ使用時の自動車事故の発生を食い止めるためにも、危険ドラッグの蔓延に対して「危険ドラッグの流通規制」および「薬物依存症対策」が2つの大きな柱になると考えられる。

14. 施設紹介:幹メンタルクリニック

齋藤 利和
(幹メンタルクリニック)

幹メンタルクリニックは、小樽に石橋病院、札幌に旭山病院を有する医療法人北仁会の 3 つ目の施設として平成 26 年 7 月1日に設立されました。医療法人北仁会の最初の施設は石橋病院であり、昭和 9 年に設立された北海道で最も古い民間の精神科病院です(今年で創立 80 周年になります)。

医療法人北仁会は昭和 56 年に札幌に旭山病院を設立しています。石橋病院、旭山病院ともにアルコール・薬物依存、ギャンブルなどの行動嗜癖の治療に熱心に取り組んでいます。幹メンタルクリニックでも医療法人北仁会のお家芸とも言うべき依存、行動嗜癖の治療に取り組んでいます。

当クリニックは札幌市の中心から車・地下鉄で 10 分、札幌医科大学まで徒歩5分の、大通り西 20 丁目のオフィスビルの中にあります。5 階が受付、診察室、相談室、デイケア室(小)です。4 階にはデイケア室と「北仁会精神医学研究所」と称しているスタッフルーム、図書室兼院長室があります。スタッフは精神医 3 名、看護師 2 名、精神科ソーシャルワーカー2 名(内非常勤 1 名)、心理士 1 名、作業療法士 1 名、事務 3 名、秘書 1 名です。

開院時間は月曜日と木曜日が午前 9 時から午後 8 時、火曜日が午前 9 時から午後 6 時、水曜日が午前 10 時からスタッフのミーティングで、診療は午後 1 時から午後 8 時までです。金曜日は午前中のみとなりますが、土曜日も午前 10 時から午後 3 時まで診療をしています。診療時間が変則的ですが、学校や就労時間、また、さまざまな障害の患者さんが来院されることを考えた結果です。まだ開院して 5 ヶ月なのでフル稼働はしていません。現在土曜日に患者さんが増える傾向にあり、近い将来診療時間の変更もしなければならないと考えています。

精神科医 3 名の得意分野はそれぞれ違いますが、3 名ともアルコール依存症分野の治療経験はあり、アルコール依存症についてはすべての開院時間で対応ができるようになっています。アルコール専門外来のほか、それぞれの得意分野を生かして、統合失調症専門外来、心身症専門外来を行っていますが、将来は専門外来の分野を広げていきたいと考えています。

当クリニックでは精神科医だけでなく、スタッフは全員治療者であるとの考えのもと、スタッフ全員で診療に取り組んでいます。ソーシャルワーカーによる受診相談、作業療法士、看護師によるデイケア、ショートケアは勿論ですが、事務員も患者さんとのコミュニケーションを心がけています。

アルコール依存症の集団精神療法も看護師が中心に行っていますし、個人精神療法についても、症例によっては心理士、看護師が行っています。

こうしたスタッフ全員での医療を支えているのは、スタッフ会議・勉強会です。水曜日の午前中は午前 10 時から、院長、副院長、事務長会議、11 時からはスタッフ全員の会議を行っています。勉強会はスタッフそれぞれの専門分野を理解しあえるようなものにしています。

当クリニックの 4 階の半分は、スタッフルームを兼ねた研究所となっています。ただし、機器類は一切なく部屋も狭いので研究所の名に値するかは少々疑問ですが、臨床統計的な研究にいそしんでいます。

現在のテーマはうつ病、不安障害の遷延化、難治化と飲酒問題です。当院にアルコールに関連した障害で来院する患者の52%に抑うつ状態(ハミルトンうつ病尺度 17 項目 14 点以上)がみられ、また、抑うつ、不安を訴えて来院した 22%にアルコール問題(AUDIT 12 点以上)が認められるのです。

また、アルコール依存があると新薬の治験の対象からはずされるために、アルコール問題を併発したうつ病に対する抗うつ薬の効果については報告がほとんどありませんでした。

我々の調査では、こうした症例では従来の抗うつ薬はほとんど効果がないことを確認し、どのような薬物が有効かを検討中です。

さて、近年、自殺の観点からもアルコール使用の問題は重要であることが認識されてきました。我々としても、こうした問題にささやかな貢献ができればと思っています。

15. 書評:DVD『ドラッグの悲劇
~脱法ハーブが奪った未来~』

企画・制作:東映株式会社 教育映像部
書評:青山 久美
(神奈川県立精神医療センター せりがや病院)

昨今、危険(脱法)ドラッグによる事件や事故に関する報道が後を断たない。そして、報道される事例が乱用する若者のごく一部に過ぎないことはここに述べるまでもない。

これほど危険が指摘されているのに、なぜ若者は危険ドラッグに手を出すのだろう。そしてドラッグはどうやって若者の心と身体を蝕んでいくのだろう。この DVD では、そんな疑問に答えてくれる。

ドラマではある若者が先輩の誘いで危険ドラッグに手を出、依存症となり、ついには違法薬物も乱用し後遺症に苦しむ姿が描かれている。また、その症状や状態について随所に専門家による具体的でわかりやすい解説が盛り込まれている。

物語はある若者が受験のストレスで落ち込んでいるときに先輩に声をかけられるという「ありふれたいち場面」で始まる。しかし、先輩の部屋で「ハーブだから」「安全」と誘われ、目の前の先輩に吸っている危険ドラッグを差し出され、断りきれずその一歩を踏み出してしまうのである。

そして「嫌なことを忘れる」ため使い続けるうちに使用回数が増え、精神依存が形成され、生活全体が蝕まれ、依存症となり、幻覚・妄想やフラッシュバック、記憶障害などの後遺症にも苦しむ。さらにより強い薬物を求めて親の金を盗む、違法薬物に手を出すなど、危険ドラッグが違法行為へのゲートウェイドラッグとなる過程がリアルに描かれている。

また、この DVD では物語に沿って専門家が危険ドラッグとはどのような物質か、薬物依存症とはどういう状態なのか、ゲートウェイドラッグとは何かなどが短時間でわかりやすく解説されている。

薬物は「違法」だから乱用してはいけないのではなく、その依存性や神経毒性、ゲートウェイドラッグとしてのリスクなど多くの危険が潜んでいるのだということを理解するための題材として、薬物乱用防止に携わる人必見の DVD である。
注)「脱法ハーブ(ドラッグ)」は、2014 年 7 月から「危険ドラッグ」と呼称を改めました。

※本 DVD は、当学会理事の鈴木勉先生(星薬科大学)が監修されました

16. 学会からのお知らせ・連絡事項

1.総務委員会より

【ご入退会・変更等手続きについて】

周囲に当学会へご興味をお持ちの方がいらっしゃっいましたら、是非、本学会へのご入会をお勧めください。

1)入会について

入会は本ニューズレターまたはホームページ掲載の入会申込書をダウンロードし、必要事項をご記入の上、下記事務局まで郵送・FAX・Eメール添付等でお申込みください。担当理事の審査後、ご請求書を審査から 1 か月程度でお送りいたします。

日本依存神経精神科学会事務局
〒100-0003
東京都千代田区一ツ橋 1-1-1
パレスサイドビル9階 (株)毎日学術フォーラム内
TEL.03-6267-4550 FAX.03-6267-4555
E-mail: jfndds@mynavi.jp
事務局営業時間:平日 10:00~17:00
※土日祝、年末年始、学術集会中はお休みいたします。
2)変更について

ご所属、ご職名などに変更がありましたら、本ニューズレターまたはホームページ掲載の書式をダウンロードし、必要事項をご記入の上、事務局までご連絡ください。

3)退会について

上記の事務局まで FAX、E-mail、郵送等文書に残る手段で、①当学会名、②退会される会員のフルネーム、③○○年度をもって退会するとの一文、の 3 点をご連絡ください。

2.事務局から

【啓発用リーフレットについて】

当学会では「あなたの飲酒が心配です」とした、啓発用のリーフレットを 1 部 30 円で下記印刷所に販売委託をしております。ご希望の方は下記までご連絡ください。

  • 会社名 :畠山印刷株式会社
  • 所在地 :三重県四日市市西浦 2 丁目 13-20
  • 電 話 :059-351-2711(代)
  • FAX :059-351-5340
  • Email :hpc-ltd@cty-net.ne.jp
※学会ホームページにも同様のお知らせを掲載しております。

3.広報・編集委員会より

【『JSND NEWS Letter』広告について】

『JSND NEWS Letter』では、広告を募集しております。
ご希望の方は、事務局までご一報いただけますようお願いいたします。
また会員の方からの、広告掲載企業様等のご紹介も大歓迎です。