3-1号 (2014年6月)

1. 世界の中の JSND の役割

高田孝二
(帝京大学 文学部)

ここ数年間の薬物依存関連学会のアジア地域における動きを日本との関わりにおいてみると、まず 2007 年 10 月、齋藤理事長や樋口理事が中心となって、アジア太平洋地域をカバーする Asia-Pacific Society for Alcohol and Addiction Research (APSAAR)を京都において立ち上げたことがあげられる(設立は 2008 年 1 月 1 日)。現在、APSAAR はインド、オーストラリア、韓国、タイ、台湾、中国、日本および米国からの会員よりなり、本年 4 月、上海において、中国薬物乱用予防治療協会(Chinese Association of Drug Abuse Prevention and Treatment)との共同開催による第 3 回大会を成功裏に終えている。また 2012 年 9 月に齋藤理事長が第 16 回国際アルコール医学生物学会総会(The 16th Congress of International Society for Biomedical Research on Alcoholism (ISBRA))を札幌にて開催した(樋口理事は ISBRA の Senior Vice President でもある)。2013 年 10 月にはクアラルンプール(KL)において International College of Neuropsychopharmacology (CINP) Special Congress が開催され、多くの日本人研究者が参加した。さらに本年 10 月には樋口理事が会長として第 16 回国際嗜癖医学会(International Society of Addiction Medicine, ISAM)年次総会を横浜で開催する。なお CINP については広島大の山脇教授が 2012 年に次期理事長(President elect)に選出され、本年より理事長就任予定であるが、今般、次期副理事長(vice-president)に齋藤(JSND)理事長が選出され、理事長・副理事長を日本人が務めるという稀有な状況となっている。

このように、とりわけ依存関係においては齋藤理事長や樋口理事を主な牽引車として、我が国がアジアにおけるリーダーシップを積極的にとり、またそれを持続発展させようとしているのが現状といえる。またJSND 自体も昨年の CINP KL や、本年 4 月の APSAAR 上海においてスポンサードシンポジウムを開催しており、さらに、10 月の ISAM2014 においては ISAM とのジョイントシンポジウムの開催や若手研究者によるシンポジウムへの支援などを行うなど積極的に係り、国際的プレゼンスを高めつつある。

一方国内においては、現在進行形であり、十分な議論と準備が必要であることは論を待たないが、依存関連の学会が確実に統合の方向に向かっているのが現状である。統合された暁には、志や興味を同じくする幅広い領域の研究者や臨床にかかわる者が一堂に会して議論することが容易となり、また世界との関係でみれば、依存に関するわが国の学会窓口が一つになることは、今後、依存に関する大きな国際学会を日本に誘致したり、日本から依存に関する提言を発信したりする上で極めて有利な状況をもたらすといえる。したがって、日本人研究者・臨床家の国際的情報発信源としての役割や、国際的オーガナイザーとしての活躍は、国内の関連学会統合により大幅に加速することが予想される。今後は、日本からもこれまで以上に依存、アディクションの研究や臨床知見を世界に発信し、また、国際診断基準の作成などに積極的にかかわり、世界の中でリーダーシップをとることが求められると言えよう。

そのためにも、将来ある若手研究者、臨床家がデータを発表するなどして海外の研究者との交流の機会を持ち得る場所を提供・支援し、さらには留学なども支援していくことが、本学会に求められることと考えられる。しかし、外国語による意思疎通に関する懸念があるためか、現在なお「外国出渋り」の雰囲気が、とりわけ臨床領域に強いように感じられる(これは私の専門の心理学の分野についても同様である)。同一言語でなければニュアンスが伝わらない部分が多いのかもしれないが、それに頼るのもおかしな話である。私事で恐縮ではあるが、私の語学に関する衝撃体験のひとつは、はるか昔の高校時代、米国人家庭を訪れたおり、3 歳児が親に、私が苦労して覚えた「過去形」を使用して答えたことである(「歯みがいたの?」「みがいた!」)。日本語であれば別に驚かなかったという点を含め、コトバというのはこういうものかと感じ入った。要は慣れである。また、内容が面白そうならコトバがつたなくても人は理解しようと努めるものである。質問がわからなければ聞き直せばよい。それでも通じなければメールで聞いてくれといえばよい。国際学会参加の大きなメリットにひとつは face-to-face のつながりが容易にもてることである。メールでも電話でも、「相手の顔がみえる」と自然と対応も異なってくる。「食わず嫌い」はやめ、国際学会や国外にでて慣れていただきたい。JSND はこれを支援いたします。

2. 2014 年度年会のご案内

第 26 回日本依存神経精神科学会
会長 宮田久嗣
(東京慈恵会医科大学精神医学講座 教授)

平成 26 年度の学術総会は、本学会(日本依存神経精神科学会)と、日本アルコール・薬物医学会(松下幸生会長・国立病院機構久里浜医療センター)、日本アルコール関連問題学会(成瀬暢也会長・埼玉県立精神医療センター)との 3 学会合同で、平成 26 年 10 月 3 日(金)~10月 4 日(土)にパシフィコ横浜で開催されます。学会のテーマは、最近の依存の概念が従来のアルコールや覚醒剤などの精神作用物質から、ギャンブルやインターネットなどの行動プロセスに広がっていることから「物質と行動のアディクション~多様な時代へのチャレンジ~」とさせていただきました。

会の準備状況は、会員の先生方のご協力をいただきまして順調に進んでおります。特別講演やシンポジウムなどの指定演題では、日本アルコール・薬物医学会との合同で以下のような演題を予定しています。

1.特別講演(1 題)

森山成彬先生(パチンコを中心とした病的ギャンブルの臨床)

2.シンポジウム(9 題)

「脳機能変化からみたアルコール・薬物依存症の病態解析と治療法の開発(若手研究者シンポジウム)」、「脱法ドラッグの蔓延とその危険性:検出からその規制まで」、「心血管系とアルコール」、「薬物依存を分子から解く」、「依存・嗜癖問題への心理学的アプローチ」、「アルコール性肝硬変、アルコール性肝癌の現状とその対策」、「薬物乱用と HIV 感染ーわが国の現状と対応―」、「アルコール摂取の各種疾患への関与」、「オピオイド依存と疼痛治療」

3.スポンサード・シンポジウム(2 題)

「治療目標としての飲酒量低減(大塚製薬・ルンドベック社)」、「アディクション、うつ、自殺のトライアングル(ファイザー製薬)

4.3 学会合同シンポジウム(1 題)

「アルコール健康障害対策基本法における“基本計画”への“提言”!」

このほか、合同開催される日本アルコール関連問題学会では、特別講演 1 題、シンポジウム 2 題、分科会 10 題、ワークショップ 5 題、教育講演 7 題を予定しています。懇親会は、10 月 3 日(金)午後 6 時 30分からパシフィコ横浜のベイブリッジ・カフェテリアで開催されます。
また、本学会は、国際嗜癖医学会(International Society of Addiction Medicine:ISAM、樋口 進会長、会期:10 月 2 日から 6 日の 5 日間)との合同で開催されます。ISAM は臨床指向の強い学会ですので、海外の依存にかかわる臨床医の考え方を知り、意見交換ができる良い機会ではないかと思います。このため、ISAM と国内学会のジョイント・シンポジウムも数多く企画しています。

アルコールや脱法ドラッグからギャンブルやインターネットまで、依存やアディクションの裾野は広がっています。これにともない、本学会に求められる役割もますます大きくなっています。どうぞ、お一人でも多くの方々に参加いただき、日ごろの研究や臨床の成果をご発表いただき、また、最前線の情報を収集していただければ幸いです。異国情緒豊かな横浜で是非、皆様にお会いできることを楽しみにしております。

3. 2015 年度年会のご案内

第 27 回日本依存神経精神科学会
会長 曽良一郎
(神戸大学精神医学分野 教授)

平成 27 年 10 月 12 日(月)~14 日(水)に、第 50 回日本アルコール・薬物医学会、第 36 回アルコール関連問題学会、第 27 回日本依存神経精神科学会の合同学術総会を神戸国際会議場で開催させていただくこととなりました。この 3 学会は日本のアルコール•薬物関連問題の中心となる学会であり、3 学会が合同で学術総会を間催するのは平成24 年の札幌大会に次いで 3 回目になります。

アルコール・薬物依存に関連する状況として、近年、違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)は「合法ハーブ」「お香」などと称して店頭やインターネットなどで販売され、若者を中心に乱用が社会問題化しています。最近、マスコミ等にも頻繁に取り上げられるようになりました。脱法ドラッグは指定薬物にして規制の網を掛けても、構造の一部を変えた新種がすぐに出回るため、厚労省は昨年から合成カンナビノイド類、カチノン系化合物に包括指定の仕組みを導入しました。さらに今春には、改正薬事法が施行され、一般人による指定薬物の所持や使用、購入も禁止されることになり相次いで導入される対策によって、脱法ドラッグは大きな曲がり角を迎えることになりそうです。

さらに、昨年には関係各位の多大なご尽力によりアルコール健康障害対策基本法が制定されました。既にご存じの方が多いことと思いますが、アルコール健康障害対策基本法は「発生・進行・再発の各段階に応じた防止対策を適切に実施」、「当事者と家族が日常生活と社会生活を円滑に営むことができるよう支援」、「自殺・虐待、暴力・飲酒運転当の問題に関する施策との有機的な連携」が基本理念とされています。この基本法の成立により国の責務とポリシーが明確にして省庁間の連携が可能とし、医療・保健・警察・司法など多方面から介入の促進、家族相談の受け皿が充実、回復のための自助グループへの支援や調査・研究の促進のため、施行から 2 年以内に基本計画が策定される予定です。

本稿では違法ドラッグやアルコールへの対策が変わりつつあることをご紹介しましたが、来年の 3 学会合同学術総会では DSM-5 での物質使用障害に関する変更など、診療や研究に役立つ企画を計画中です。
どうぞ多くの皆様のご参加を心よりお待ちしておりますとともに、学術的な活動に加えて観光都市としての神戸での滞在も楽しんでいただけると幸いです。

第 50 回日本アルコール・薬物医学会
会長 西口修平(兵庫医科大学 肝・胆・膵内科 教授)
第 36 回アルコール関連問題学会
会長 堀井茂男(公益財団法人慈圭会 慈圭病院 院長)
第 27 回日本依存神経精神科学会
会長 曽良一郎(神戸大学 精神医学分野 教授)


【開催概要】

平成 27 年度アルコール•薬物依存関連学会合同学術総会

会 期 :
平成 27 年 10 月 12 日(月)~14 日(水)
会 場:
神戸コンベンションセンター・神戸国際会議場
〒650-0046 兵庫県神戸市中央区港島中町6丁目9-1
TEL :
078-302-5200
http://kobe-cc.jp/index.html

なお、年会ホームページ、演題募集期間、事前参加申し込みなどは、決まり次第ご連絡申し上げます。

以上



メインホール

国際会議室

4. 第 16 回国際嗜癖医学会横浜大会につい

第 16 回国際嗜癖医学会
会長 樋口 進
(独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター)

第 16 回国際嗜癖医学会(International Society of Addiction Medicine, ISAM)が、日本依存神経精神科学会(本学会)を始めとする国内 3 学会とともに、パシフィコ横浜で開催されます。期日は、2014年 10 月 2 日~6 日です。このうち、最初の 3 日は、国内学会と並行して行われます。本学会会員を始めとする多くの先生方のご協力を得て、準備は順調に進んでいます。本学会の特徴は、すべての嗜癖を網羅していることです。現時点での主な内容は以下の通りです。

1. 特別講演

特別講演に 9 名の著名な研究者および行政官を招聘しています。まず、米国 NIAAA の George Koob 研究所長、同じく NIDA の Jag Khalsa 部長。国連関係では、アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略策定を主導した WHO の Vladimir Poznyak 博士、国際麻薬統制委員会(INCB)の Lochan Naidoo 委員長。研究者としては、アルコール関連では、KarlMann、齋藤利和博士、薬物関連では、Kathleen Brady、曽良一郎教授、さらに行動嗜癖分野から Marc Potenza 教授を招聘します。

2. シンポジウム、一般演題

多くの会員の皆様のご協力を得て、現時点で 51 のシンポジウムが登録されています。また、一般演題も約 160 演題の申し込みがあり、このうち 50 演題が口演、110 演題がポスター発表になります。アルコール・薬物依存に加えて非常に多くの行動嗜癖に関する発表が寄せられています。

3. その他

以下のようなイベントを企画しています。

  1. 1) 10 月 3 日のオープニングセレモニーは国内学会と合同で行います。
    皇族にご列席を賜ることになっています。
  2. 2) 魅力的な英文の論文作成や学会発表に関するワークショップ(10月 2 日)
  3. 3) ISAM による認定医試験(10 月 2 日)
  4. 4) アルコール・薬物依存症治療機関見学ツアー(10 月 2 日)
  5. 5) 能観劇(横浜能楽堂、10 月 5 日) など

4. 本学会からの貢献

本学会員がオーガナイズした複数のシンポジウムに対して、本学会から財政的支援を頂けることになりました。また、複数の若手研究者によるシンポジウムにも齋藤理事長の働きかけにより支援のご提供がありました。齋藤理事長を始め、多くの関係者にこの場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
学会の内容は EXCITING!!です。多くの会員の皆様のご参加をお待ちしています。

5. 春の理事会報告

総務委員会委員長 宮田久嗣
(東京慈恵会医科大学精神医学講座)

日本依存神経精神科学会 第 1 回理事会が 2014(平成 26)年 5 月 26日に学会事務局のあるパレスサイドビルで開催されました。議事録の内容を以下にお示しいたします。

日 時 :
2014 年 5 月 26 日(月) 18:00~21:00
会 場 :
パレスサイドビル 2Fマイナビルーム 2F - U会議室
出席者:
池田和隆、小宮山徳太郎、齋藤利和(理事長)、高田孝二(監 事)、樋口 進、廣中直行、堀井茂男(監事)、宮田久嗣
欠席者:
猪野亜朗、伊豫雅臣、内村直尚、鈴木 勉、山田清文

1.会務報告(宮田総務委員長)

宮田総務委員長が、現状の会員数、企業賛助会員、昨年度開催の会議、今年度開催予定の会議について報告した。

2.2013 年度決算・2014 年度予算案(廣中財務委員長)

資料に基づき、下記の決算報告を確認した。

  1. 1)一般会計
  2. 2)特別会計(柳田賞)
  3. 3)平成 25 年度アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会

検討の結果、内容については承認されたが、書き方について以下を修正することになった。

(収入の部)

  1. 1)第 17 回アル精年会からの寄付→第 17 回アル精年会からの返金
  2. 2)上記の備考欄に「国際関連費・若手研究者育成基金として使用する」と追記
  3. 3)CINP KL と APSAAR2014 関連の収入については、別会計とし一般会計に含ませない

(支出の部)

  1. 1)上記同様 CINP KL と APSAAR2014 関連の支出についても、別会計とし、一般会計に含ませない

齋藤理事長が、CINP KL については、学会から理事会で承認された30万円を捻出したことを報告した。また、第 17 回アル精からの寄付(返金)については、日本アルコール・薬物医学会(以下、アル薬)にも同額程度を寄付(返金)していると報告し、残金については国際関連費や若手研究者の育成に利用してほしいと意見を述べた。廣中財務委員長が、残金については札幌医大へ返還しなくてよいか確認し、齋藤理事長が返還の必要はないと回答した。

続いて予算案について廣中財務委員長が説明した。
齋藤理事長が、ISAM への参加費やジョイントシンポジウムなどを援助したほうがよいのではないかと提案し、登録料、スポンサードシンポジウムフィー、オーガナイザーへ個別に資金提供する、などさまざまな案が出され検討した。

その結果、本学会の会員によるジョイントシンポジウムに対して 60 万円援助することとした。

また、齋藤理事長からの発言で、アル薬でもジョイントシンポジウムの援助を提案することとした。
若手シンポジウム 2 題についても、本学会よりの援助を検討したが、齊藤理事長がサントリーへの援助を依頼することで対応することとなった。

3.2014 年度年次学術総会の件 (宮田会長)

宮田会長が、2014 年の学術総会についてスケジュールを配布し、全体を説明した。一般演題の集まりがいまひとつのため、演題登録を 6 月16 日まで延長するとの報告があった。
当学会に関連する会議の予定は以下の通りである。
理事会 10 月 2 日 17:30-19:00
評議員会・総会 10 月 3 日 10:30-11:00

4.2015 年度年次学術総会の件 (曽良次期会長代理 堀井監事)

曽良次期会長代理で堀井監事より、2015 年度年次学術総会について以下のような報告があった。

日程:
2015 年 10 月 12 日~14 日
会場:
神戸国際会議場

運営事務局は神戸大学内に設置し、アルコール関連問題学会と共同開催

5.賞選考委員会より柳田賞、CPDD、APSAAR 2014 若手賞等賞について(樋口賞選考委員長)

樋口委員長が、今年度の奨励賞、若手賞の受賞者について報告した。
CPDD 奨励賞 水野 晃治先生(川崎医科大学)
APSAAR2014 若手優秀発表賞 伊藤 満先生(久里浜医療センター)

6.各委員会からの報告

国際委員会の高田委員長が、4 月の APSAAR2014 について、現地で若手と交流できたことや 200 名近く集まり盛大な学会となったことを報告した。
齋藤理事長が、APSAAR の理事推薦が始まるので候補があれば、案を送ってほしいと依頼し、一同了解した。

7.日本依存神経精神科学会と日本アルコール・薬物医学会の統合にむけて

日本依存神経精神科学会と日本アルコール・薬物医学会の統合に向けて、以下の統合検討委員会で討議されていることが報告された。
統合検討委員会:齋藤利和(両学会理事長)
日本依存神経精神科学会 廣中直行、池田和隆、宮田久嗣
日本アルコール・薬物医学会 大熊誠太郎、藤宮龍也、白石光一、松下幸生

8.HPに掲載する国際若手賞の件(HP担当 廣中理事)

廣中理事が、現状HPにないCPDD以外の若手賞の項目について追加したいと発言し、一同検討の結果承認した。

9.ニューズレター3-1・2 号 広告収集状況(池田広報・編集委員長)

池田委員長が、ニューズレター3 巻の現状の広告収集状況を説明し、予算達成のためにも特に臨床系の役員の先生方には、企業等へ呼びかけをお願いしたいと依頼した。
齋藤理事長が、企業へ配布する趣意書を役員に送るように事務局に指示し、事務局鈴木が了解した。

10.依存の診断と治療のガイドライン作成について(齋藤理事長)

齋藤理事長が、依存診断と治療のガイドライン作成について、構想はすでにできているとしながら、当学会の役員にも協力を願いたいと依頼し、一同了解した。

以上


6. 学会印象記:APSAAR2014

(The 3rd Congress of Asia-Pacific Society for Alcohol and Addiction Research イン 上海)

舩田正彦
(国立精神・神経医療研究センター)

合流の度にクラクションが鳴り響き、欧米の外国車が行き交う。上海虹橋国際空港から市内へ通じる高速道路は良く整備されていており、国際都市であることを実感する。天気は晴れだと思われるのだが、遠くの高層ビルの上層部はモヤがかかっている。

2014 年 4 月 24 日より 27 日まで、中華人民共和国、上海にて開催され た The 3rd Congress of Asia-Pacific Society for Alcohol and Addiction Research (APSAAR2014) に参加させて頂いた。プレナリーセッションでは、National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism (NIAAA) の所長であるDr. George Koob が 「 Neurobiology of Addiction」について、中国のアルコール問題に精通し、中国内向けのアルコール障害とその治療のガイドラインを作成した Dr. Wei Hao は「Drinking and drinking-related problems in China, current status and response」について、日本からは久里浜医療センターの松下幸生先生が「The Impact of the Great East Japan Earthquake on Alcohol, Nicotine and Hypnotic Abuse in Disaster-Stricken Areas」と題し、東日本震災とアルコール問題についてのレクチャーがあり、それぞれ大盛況であった。

今回の APSAAR2014 は中国国内学会の The 4th Chinese alcohol and drug abuse conference と共同開催であり、発表の公用語は英語と中国語となっており、「英語のスライド」および「中国語に翻訳されたスライド」の併写という形式であり、なかなか興味深い趣向であった。プレナリーセッションでは英語の同時通訳があったものの一般演題は中国語のみであったが、中国語のスライドを見ることで概略を理解できる場合もあり、漢字文化を共有していることをあらためて感じた。本 APSAAR2014は中国内で開催された薬物依存に関する初めての国際学会であり、アメリカ、オーストラリア、イタリア、日本、タイ等 300 名ほどの参加で、基礎から臨床問題まで、幅広い内容の発表が目白押しであった。アジアを拠点として薬物依存研究を推進することの意義を再認識する機会となった。

私は最終日の午後、日本依存神経精神科学会の理事長であられる齋藤利和先生と国際委員会委員長の高田孝二先生により企画されたシンポジウム「Current Regional Issues on Substance Use/Addiction」にて講演の機会を頂いた。日本における直近の社会問題に関するテーマとして、「脱法ハーブの危険性に関する危険性とその規制」と題して、脱法ハーブ乱用実態とその危険性ならびに包括指定の現状まで、日本の状況について報告を行った。アメリカ、オーストラリア等でも脱法ドラッグの乱用が同様の社会問題となっており、薬物規制のシステムについては興味を持って頂き、有意義な情報共有の場となった。

最後に、貴重な発表の機会を頂いた齋藤利和先生、高田孝二先生、樋口進先生に心より深謝する次第である。

次回 の APSAAR2015は、オーストラリアでの開催となった。会員の皆様、来年はオーストラリアでお会いできれば幸いである。

上海の酒精成瘾学会

麻生克郎
(公益財団法人復光会垂水病院)

4 月 24~26 日に上海で開かれた第 3 回アジア・太平洋アルコール・アディクション学会に参加しました。私にとっては初めての中国体験でした。この大会には、地元の中国から約 200 人、日本などの国外から数十人が参加しています。公用語は英語と中国語でしたが、私たちの抄録やスライドは、すべて中国語に翻訳されたものが準備されていて、すべてのセッションで、スライドは英語と中国語の二本立てでした。準備にはずいぶんと力を入れたものと思われます。

中国の国内学会も兼ねていたこともあり、中国語ばかりが飛び交うセッションもありました。聞く中国語はまったくわからないのですが、スライドや抄録は漢文ですから、意外と理解できます。字体の違いはあるのですが、それでもパッと見ただけで入ってくる情報量は、英語より多いのではないでしょうか。同じ漢字文化を共有していることを実感します。

中国語でも多くの用語はあまり抵抗なく入って来るのですが、中にはハッとするようなものもあります。addiction は「成瘾」と言います。「瘾」は日本語では「やまいだれ」の中に「隠」で「イン」と読みます。漢和辞典によると「瘾」の字義は「くせ、中毒、長年たしなんで病的になったもの」とあり用例に「酒瘾」とあります。これ一字で依存症を示しているのです。「成」は「成人」と同じで、「一人前の依存症」とでも言うことになるのでしょうか。

日本では「addiction」に「嗜癖」を当てますが、中国語のウェブサイトで「嗜癖」を検索すると、ほとんどが「異嗜癖」に至ります。「異食症」のことです。元の時代に「嗜癖成書賈」という詩句があり(袁桷)、これは「嗜癖のために本屋が開ける」ということでしょうから、「何かにのめり込む」の意もあるようですが、現代ではもっぱら食の嗜好を指すようです。漢語の中では「瘾」のほうが addiction にピッタリなのでしょう。

会場は中国光大グループのコンベンションセンターですが、上海の都心からはだいぶ離れていて、各種の高層住宅が立ち並ぶ住宅地の中にあり、周辺には上海の庶民の生活があふれていました。近くには観光施設もなく訪れる外国人も少ないのでしょう、どの店も英語も日本語もまったく通じません。周りにはさほどの観光施設もありませんでしたが、ホテルから 10 分ほど歩いたところにある、健康園というけっこう広大な庭園を見つけて、朝は毎日そこを訪れました。広場では地元の人たちが太極拳を演じ、茶屋では幾人かが中国茶を前に座談に興じたり、一人のんびり座ったり、と思い思いに時を過ごしていました。二日目はあいにくの雨でしたが、雨に煙る楼台ならぬ高層住宅群や、かえって緑の映える池の端の柳が、蘇州や杭州には及ばないのでしょうが、漢詩の世界の春の江南を思い起こさせてくれました。おもしろい体験をさせていただきました。

7. 書評

溺れる脳~人はなぜ依存症になるのか~

著者 M・クーハー
監訳 舩田正彦
(株式会社 LSI メディエンス 薬理研究部)

依存症を正しく理解してもらうためには、報酬探索の神経機構や神経活動の可塑的変化に関する基礎生物学から説き起こす必要がある。ところがこれを一般向けに行うのは非常に難しい。

本書は、この課題に正面から取り組んだ良書である。著者は薬物依存研究のビッグネーム、Michael Kuhar 教授である。Kuhar 教授は 2011年の CPDD で Eddy 賞を受賞され、近年は CART ペプチドに関する活発な研究を展開している。

全 14 章は薬物問題の概論から始まり、依存脆弱性のエピジェネティックな背景や、シナプス伝達の可塑的変化に関する最新の知見を踏まえつつ、最後は治療と今後の展望に向かう。一章の長さは比較的短く、各章の主題がはっきりしている。神経伝達や遺伝子解析については基礎概念を説明するのに多くの手間を取ってしまうが、本書はそれを「囲み記事」にすることで整理している。

私の見るところ、類書と比較して本書には 4 つの主な特徴がある。

第 1 に、Kuhar 教授自身の業績も含め、重要な研究成果がわかりやすい図と共に多数示されている。これは研究者にとっても大きな刺激になるであろう。

第 2 に、脳内報酬系の機能が生存との関連で考察されている。いまだに報酬系を安易に「快感」に結びつける傾向が強いなかで、この視点は重要である。

第 3 に、非物質「嗜癖」についても触れられているが、生物学的なエビデンスをベースにしているため、その対象がギャンブル、セックス、食物である。

第 4 に、生物学的な治療について、ワクチンや RTI-366(コカイン代替薬)なども含めた最新知見が述べられている。

依存や嗜癖の概念が拡散する傾向を見せている今日、その生物学的な基本を整理することは非常に大事である。本書は、依存症に関心のある人が必ず通過しなければならない必読書と言えるであろう。翻訳の労を取られた舩田正彦先生はじめ国立精神・神経医療研究センターのスタッフに深謝したい。

8. 「第四次薬物乱用防止五か年戦略」について

鈴木 勉
(星薬科大学 薬品毒性学教室)

平成 20 年 8 月に「第三次薬物乱用防止五か年戦略」が提示され、種々の取り組みがなされてきました。その結果、平成 24 年中の少年及び 20歳代の覚醒剤事犯の検挙人員は 2,131 人と、5 年前の 65.8%に減少し、同じく少年及び 20 歳代の大麻事犯の検挙人員は 809 人と、5 年前の50.1%の水準にまで減少する等、一定の成果を挙げています。しかしながら、薬物情勢全体を見ると、覚醒剤事犯の検挙人員は 11,842 人に上り、5 年前と比べても横ばいで高止まりの状況にあるが、再犯者率は61.1%であり、5 年前よりも 5.4%増加し、過去 15 年間で最高を更新しています。さらに、脱法ドラッグが蔓延し、これらの使用者が二次犯罪や健康被害を起こす事例が多発しています。平成 18 年に薬事法を改正し、指定薬物制度が導入されましたが、それでも未規制類似物質が次々と出現しています。また、覚醒剤の押収量は 466.6kg と過去 5 年間で最多となったほか、末端価格が値上がりしていることが伺え、依然として覚醒剤の安定した供給が想像できます。このようなことから、政府は新たな「薬物乱用防止五か年戦略」を策定し、総合的な対策を講ずることにより、薬物乱用の根絶を図ることとしています。今回の第四次薬物乱用防止五か年戦略では、以下のような目標を 5 つ設けています。

目標1では「青少年、家庭及び地域社会に対する啓発強化と規範意識向上による薬物乱用未然防止の推進」を掲げています。そして、学校における薬物乱用防止教育及び啓発の充実強化を目指すと共に、合法ハーブ等と称して販売されている薬物等、多様化する乱用薬物に関する啓発等の強化を目指しています。

目標2では「薬物乱用者に対する治療・社会復帰の支援及びその家族への支援の充実強化による再乱用防止の徹底」を掲げています。薬物事犯の再犯率は高く、特に青少年の再乱用防止対策の充実強化が望まれます。さらに、薬物乱用者の社会復帰に対する支援を充実強化することにより、再乱用・再犯の減少に繋げて行く必要があります。

目標3では「薬物密売組織の壊滅、末端乱用者に対する取締まりの徹底及び多様化する乱用薬物に関する監視指導等の強化」を掲げています。
組織犯罪対策の推進により、薬物密売組織の壊滅戦略に取り組み、さらに中心人物の取り締まりも徹底されます。また、薬物犯罪収益に関わる情報集約及び分析を推進し、薬物犯罪収益の剥奪を徹底します。さらに、合法ハーブ等と称して販売される薬物等、多様化する乱用薬物に関する監視指導等の強化を行います。

目標4では「水際対策の徹底による薬物の国内流入の阻止」を掲げています。すなわち、密輸等に関する情報の収集を民間からも強化し、さらに海上や港湾等の監視•取締も強化して乱用薬物の国内流入の阻止に務めます。

目標5では「薬物密輸阻止に向けた国際的な連携・協力の推進」を挙げています。具体的には多様化する密売ルートの解明と海空路による密輸への対応を充実強化させ、国際会議等の国際的な枠組みへ積極的に参加し、連携強化を図ります。さらに、我が国への主要な仕出国や地域等との連携・協力の推進に務めます。

これらの目標の中で、日本依存神経精神科学会が特に関連するものは、目標 1 と目標2であります。目標1「青少年、家庭及び地域社会に対する啓発強化と規範意識向上による薬物乱用未然防止の推進」では当学会会員による小中高校生に対する出前授業や地域の方々に対する公開講座等も可能かと思われます。さらに、目標2「薬物乱用者に対する治療・社会復帰の支援及びその家族への支援の充実強化による再乱用防止の徹底」は当学会の臨床系の先生方が日々取り組んでおられることであり、国家の「第四次薬物乱用防止五か年戦略」の目標項目であることを我々自身が自覚し、主張もしていく必要があると考えられます。

最後に、最近大物シンガーが覚醒剤や麻薬(MDMA)の使用容疑で逮捕され話題となっています。さらに、本年 4 月 1 日からは指定薬物の所持、使用、購入、譲り受けが薬事法により新たに禁止されました。違反した場合には、3 年以下の懲役又は 300 万円以下の罰金又はこれらが併科されます。このように有名人の薬物問題より薬物乱用防止の啓発、さらに規制強化による乱用防止の推進が行われています。このような取り組みでは、まだ十分とは言えません。当学会は正に薬物依存の基礎研究と臨床研究を融合した日本で唯一の学会であり、このような研究推進が国家戦略「第四次薬物乱用防止五か年戦略」を支えており、今後も支えていくことを示していくべきだと考えています。

9. 研究室紹介:川崎医科大学薬理学教室

水野晃治
(川崎医科大学 薬理学教室)

当研究室は、1972 年に村山好道先生により開かれ、1976 年から斉藤泰一先生に引き継がれ、1996 年から大熊誠太郎先生により現在に至るまで 42 年間川崎医科大学の薬理学研究および薬理学講義を担ってきました。現在は、大熊誠太郎教授、黒川和宏講師、および水野晃治講師の教員3名、研究補助員2名の5名と少数ではありますが、日夜教育と研究に励んでおります。

川崎医科大学では、センター制度を導入しており、研究棟のフロアごとに専門機器が集められており、各実験のスペシャリストが解析機器の管理および解析補助を行っています。5階には組織培養・免疫センターと組織・電子顕微鏡センターがあり、細胞培養および詳細な顕微鏡観察が行えるフロアとなっております。6階には生化学センターと RI センターがあり、生化学センターでは、遺伝子組み換え実験、LC-MS によるタンパク質、アミノ酸解析、Real Time PCR およびシークエンサーによる遺伝子解析 RI センターでは、RI を使用した細胞および動物実験が行えるフロアとなっております。7階は生理機能センターがあり、2D-DIGE システムによるタンパク質の網羅的解析、ルミノイメージアナライザーによるタイムラプス解析、工作室における実験器具の開発が行えるフロアとなっています。8階には、環境生態センターおよび医用実験センターがあり、動物行動解析、手術、in vivo Ca2+イメージング等が行えるフロアとなっております。9階および10階は医用生物センターとなっており、マウスの飼育スペースおよび動物感染実験、動物遺伝子改変実験等が行えるフロアとなっております。薬理学研究室ではこのような充実した施設を利用し、アルコール、覚せい剤、コカインやモルヒネなどの麻薬を中心に薬物依存形成機序および薬物依存形成後の脳機能変化について生化学的手法、生理学的手法、分子生物学的手法等を用いて詳細に解析を行っております。

本研究室では、少数のため2名の講師がそれぞれの専門分野で力を発揮するよう分業して実験を行っております。黒川講師は、動物行動薬理学を中心に研究を行っており、各薬物の依存性の評価について条件付け場所嗜好性試験(CPP 法)を用いて解析し、また、脳内神経伝達物質をin vivo microdialysis 法により解析しております。さらには、これらの脳機能変化が何に起因するのか、あるいは、どのような影響を与えるのかを検討するため、薬物依存に重要な役割を担う腹側被蓋野、側坐核、大脳皮質を中心とした部位特異的なタンパク質の発現変動を Western blot 法および免疫染色法を用いて解析しています。これらの解析結果を基に起因となる脳部位にマイクロインジェクション法により各種阻害剤を投与し、行動解析をすることで薬物依存の治療薬あるいは治療法の確立に向け研究を行っています。

水野講師は動物実験の成績を基に初代培養神経細胞を用いて各薬物および神経伝達物質による神経細胞の生理学的および生化学的変化を中心に研究を行っており、各薬物による神経細胞の機能的変化についてイオンインジケーターを用いて評価し、また、機能的変化を起こす原因に関してカルシウムチャネルの発現変動ならびに Cl-濃度調節因子の発現変動を中心に解析を行っております。また、タンパク質発現変動を転写レベルから解析するために、各タンパク質のプロモーター領域における転写因子の結合をクロマチン免疫沈降法により解析し、転写因子の核内発現を Western blot 法ならびに免疫染色法を用いて解析しております。

このような研究三昧の毎日を送っておりますが、毎年、年末には大熊教授を中心に忘年会が開催され研究室の親睦を深め、研究の息抜きをしております。また、本学では、教員室と呼ばれる大フロアに各研究室の准教授、講師、助教のデスクがあり、各研究室間の繋がりが密接であるのも特徴です。毎年、夏および年度末には、川崎医科大学基礎教員歓送迎会を水野講師が幹事となり開催しており、日頃の疲れを癒しつつ、各研究室間の親睦を深め、情報交換のしやすい風通しの良い研究施設となっております。

10. アル法関連最新情報

基本法、その後

猪野亜朗((医)山下会 かすみがうらクリニック)
堀井茂男((財)慈圭会 慈圭病院)

はじめに

5 月 25 日、荒川サンパークにて開催された「アルコール健康障害対
策基本法推進の集い in 東京」は 1,150 人を超える参加者の熱気と感動の中で、無事終えることができました。

6 月 1 日からこの基本法が施行される直前の集いとなりました。

昨年 5 月 11 日、名古屋における「願う集い」から、大阪での「願う集い」、そして国会での成立した翌日に当たる 12 月 8 日岡山の「祝う集い」、今年 2 月 15 日大分での「推進する集い」とリレーされ、今回の東京での「推進する集い」となりました。

今後、大震災後のアルコール問題を抱える「東北の集い」、最北の「北海道の集い」へと続いていくことが検討されていますし、各県単位の集いも準備されてきています。

一方、基本法に沿って、国と地方での動きが両輪のように今後進んでいくことが予想されます。国は関係者会議を設立し、それを受けた推進会議となります。

地方では国の基本計画の策定を受けて、都道府県での推進計画の策定となります。

私達としては、国の動きを待つのではなく、地方から積極的に国に提言し、都道府県などの計画を準備し、決めていくことが重要と考えます。

とりわけ、今年から始まる啓発週間は都道府県、市町村単位で行っていかれますが、そのための取り組みは既に始まっていて、会員各位のご協力が不可欠となります。

奈良県では知事が基本法に関連して、プロジェクトを立ち上げることを表明し、三重県では障害福祉課だけでなく、交通安全課、高齢化などの関連部署が担当課会議を開催することを決めています。

愛知でも、窓口となる担当課が決定され、「基本法推進の集い in 愛知」にて要望事項の整理と担当課の参加が決まっています。

これ等の取り組みは全国的にも展開されていく必要がありますが、今後の取組の要点を記しておきたいと思います。

1.基本法の5つの要点

A.正しい知識の普及、依存症への偏見の是正

アルコール依存症の人はアル中、酒飲みは意志が弱い、酒癖癖が悪い、だらしない、人格の欠陥などの偏見に苦しみ、また、「酒は百薬の長」として飲酒問題を否認する社会的意識があります。

これらが早期治療のチャンスを遅らせ、また、治療に繋がっても回復を遅らせる重要な要因になっています。

このような日本の社会意識に対して、アルコール依存症は病気であり、長期多量飲酒すれば誰でもなり得る病気であり、回復可能な病気であることを提示することをエビデンスに基づいて、国や公共団体やメディアやアスク等が協力しあってパブリックキャンペーンを行っていく必要があります。

B.酒類製造・販売業者の自主的取り組み

基本法制定は反対の声が一切なかったことが最大の成立要因でしたが、中でも酒類業界の皆様が「不適切な飲酒」が招く悲惨さを人間として共有できたことが大きかったと考えます。また、基本法は規制法ではないので、不適切な飲酒を誘引しないように、再発を促進しないようにすべきです。オーストラリア・ニュージーランドのビール酒造組合のHP には「アルコールのマーケティングはただ銘柄選択を促すもので、断酒している者に飲む気を起こさせるものではない」とあり、これを原則に踏まえて欲しい。

C.早期発見・介入は SBIRT の普及と人材養成で

SBIRT(Screening:飲酒をふるい分ける,Brief Intervention:「介入」によって“危険な飲酒”には節酒指導を、“乱用”と“依存症”者には断酒を勧める,Referral to Treatment:専門治療の必要な者には「紹介」を行うコンセプト)は、世界で普及されているコンセプトであり、これを日本で普及させることで、関係機関、関係職種が共通言語として連携しあえます。SBIRT を実施できる人材を要請する必要があります。

D.様々なレベルの連携の促進

連携はその目的によって様々に異なりますが、下記のような連携の要素を持ったシステムを構築していく必要があります。

  • 課題別の連携(健康障害・飲酒運転・DV・虐待・自殺)
  • 予防別の連携(発生・進行。再発)
  • 地域別の連携(顔の見える関係)
  • 持続可能な連携(欠かせない行政の参画と支援)
  • セーフティーネットの結び目の沢山ある連携(多くの関係機関の参加)
  • SBIRT を介した連携(特に一般医療と専門医療)
    SBIRT による橋渡し作業に診療報酬があると、飛躍的に進展する

E.相談・社会復帰など、当事者と家族への支援の充実

現状では、家族は路頭に迷い、当事者はどこへ行って良いかわからず、自助グループも乏しい支援の中で活動しています。そこで次の点が要点と考えます。

  • 専門相談窓口を整備し、家族を含めた相談支援体制を強化
  • 自助グループ活動の会場確保についての支援
  • 行政広報誌掲載などによる自助グループの活動内容の周知
  • 行政・医療機関との連携による自立支援施設の整備
  • 回復者の力を、有効な社会資源として、違反者講習や受刑者教育、予防教育、相談支援などに生かす仕組み
  • 自助グループへの財政的支援

2.今後の行動指

①啓発の強化を!

基本法の成立は、一般国民は勿論、アルコール健康障害やアルコール関連問題に関与する関係者にすら殆ど知られていない現状にあります。成立場面が特定秘密保護法の陰に隠れたということもありますが、それだけではありません。

これは日本のこれまでの構造「日本社会のアルコール問題への否認」の現れなのです。

当学会は、機会あるごとにあるいは、機会を作って、関係機関に啓発していく必要があります。

学会員は基本法について、メディアは勿論、日本医師会、各県の医師会、地域医師会、内科系の学会、地方学会、地域の研究会、医事新報、Medical 朝日などなどの機関紙や業界紙に投稿したり、講演をしたりしてほしいと思います。

学会員や意義を認めた皆様がメッセンジャーになって啓発しなければ、誰もやってくれません。
メディアも壁が厚いですが、NHK は公共放送ですので協力を得やすいと考えます。

各地での啓発活動も重要です。機会あるごとに啓発してほしいと考えます。

②啓発週間への協力を

基本法は 11 月 10 日から 16 日の間を啓発週間と決めています。

国は予算の関係で全国 2 箇所でのシンポジウムを計画します。

一方、都道府県での取り組むは地域差が生じると思いますが、都道府県当局と協同し、断酒会などの自助グループと医療関係者や研究者が協力しあって、地元で啓発活動を行うのが良いと考えます。

具体的な例としては、「基本法推進の集い in あなたの県」の実行委員会を設けて準備します。

(例)

  1. 基本法の意義と内容(総論的な説明と各団体から意見表明)
  2. アルコールや依存症についての最新の知見
    上記の内容の集いを各県で実施するのが良いと思います。
    これに全断連が計画しています「飲酒運転撲滅キャンペーン活動」と連動させると参加者も増えると思います。
  3. 連携活動の実態調査を行う。実施可能な連携組織の形成のために、実態調査は不可欠と考えます。国や自治体にも協力して頂き、調査を進める。
  4. 專門治療機関についての調査を通した定義や必要な機能
  5. 専門医の養成制度の検討と SBIRT を実施できるかかりつけ医の養成
    5%の專門治療受診者と 95%の未治療者の受診を考えるとき、現在の専門医の数では圧倒的に不足しています。どのようにして臨床医を育てるか。勿論、コメディカルの育成も課題です。
  6. SBIRT への診療報酬の制定
    SBIRT の普及には禁煙外来以上の診療報酬が必要です。
  7. 研究者の育成
    当学会はこの点での考え方を提示していく必要性があります。
    研究費の増額は勿論ですが、研究成果を社会に還元していく、社会にアナウンスしていくことも強力に進めていくべきと考えます。この項目については実際に研究に従事している会員からの提起を待ちたいと考えます。

③都道府県知事、市町村長、都道府県議員、市町村議員の賛同を拡げる

知事、首長が啓発週間や推進計画を策定していく上に、各議会がバックアップする意見や質問を行っていくことは有効性が高いと考えます。

終わりに

上記のように、学会として、学会員としての課題は多い。しかし、アルコール依存症治療、アルコール研究が大きく前進していくチャンスでもあります。この機会を活かしてほしいと考えます。

11. 統合前企画 専門家に訊く
~①法医学とは アルコール及び依存と法医学~

藤宮龍也
(山口大学大学院医学系研究科 法医・生体侵襲解析医学分野 教授)

法医学は科学的な鑑定を追求する応用科学で、公衆衛生・社会安全への貢献を使命としている。特に、死因究明と再発予防を目的とする検死制度に貢献することを旨として、医科学から法学まで含む広い領域を対象としている。法医学の研究分野には、法医病理学と、血液型・DNA 型・個人識別分野、中毒学分野の主要3領域があり、他に、医事法学・臨床法医学・犯罪学などがある。アルコール・薬物医学は中毒学分野に主に位置している。

1.死因究明制度の新しい動向

日本の検死制度は戦前にドイツ法学の影響のもとに司法解剖制度という形で刑事訴訟法に明記されて、検視・解剖・鑑定という形で行われてきた。犯罪死体と変死体(及びその疑い)が対象で、犯罪死体の死因究明(証拠保全)が中心であった。第二次世界大戦後に、GHQの占領下、公衆衛生向上の目的でアメリカの Medical Examiner 制度が導入されることになったが、主要7都市部に施行され、実際に運用された都市部は東京都 23 区、大阪市、神戸市で、横浜市は変則的運用がなされ、名古屋市は実質上運用がない状態であった。また、京都市と福岡市は行政改革の中で消滅した。日本の監察医制度の目的は非犯罪死体の公衆衛生目的の死因調査(死因統計)であり、犯罪死体・変死体は大学の法医学教室が担当してきた。監察医制度が適用外の他の地域では、行政承諾解剖と司法解剖がなされてきた。このように、日本の検死制度は検察・警察が関与する司法解剖、地方自治体が行う承諾解剖、厚労省が管轄する監察医制度という3種類の解剖制度が混在し、検死制度自体の意味が不明瞭になって運営されてきた。

民主的な検死制度の典型は英国・カナダ・豪州等にあるコロナー制度である。米国では主に都市部に監察医制度、非都市部にコロナー制度がある。コロナー制度では、死因究明と再発予防を目的に検死が行われ、解剖の要否の決定権、捜査権・警察指揮権、検死陪審(審問)や検死委員会の開催等が検死官(コロナー)の権能である。検死の結果、犯罪死体と判明すると検察に管轄が移るが、非犯罪死体については必要に応じて市民による検死陪審が開催され、死因決定や再発予防策の検討が行われて、勧告が出される。死因究明に市民が参加することはまさに民主主義の原点である。実際、故ダイアナ妃の死因究明は検死陪審により行われた。日本では法体系が異なるため、導入できない制度であるが、検死制度が市民に理解されるように更なる努力が必要と考える。

近年、死後画像診断が普及するようになったことと、2012 年より死因・身元調査法や死因究明等推進法が施行されたことから、検死制度は新しい局面を向かえている。非監察医制度地域において死因究明率が向上し、犯罪の見逃し予防やトラブル予防、労災死・過労死・医療関連死等の再発予防などに貢献できるようになることを期待している。一方、日本の中毒検査体制は貧弱で、公的な中毒センターは数少ないのが現状であり、検査する人材は乏しく、危機的状況である。今後の改善が必要な分野である。

2.研究分野

日本法医学会の他に、法医病理研究会、DNA多型学会、法中毒学会・日本中毒学会等の主要3領域に研究会・学会があり、その研究は国際的レベルである。研究分野では最先端であるが、法医学は社会制度を反映するため、米国の監察医制度下の法科学の進歩や英国系のコロナー制度下やヨーロッパ・ドイツ系の国家政策下の社会医学としての法医学という面で、日本の後進性が目についてしまう状況である。また、児童虐待やドメスティック・バイオレンス等の生体鑑定等も含む臨床法医学・犯罪学領域は社会的な必要性が増しているが、従来の大学の研究評価基準では低い評価となり、社会医学としての独自性を認めてもらいたいと考える。

3.アルコール及び(薬物・行動)依存と法医学

中毒学領域で一番鑑定依頼が多いものがアルコールであり、依存性薬物の依頼も多い。これは事故・犯罪・突然死等に関係する可能性が高いためで、社会的に重要な領域である。また、痴漢や万引き等の軽犯罪に行動依存が関与していることが多く、法医学は依存精神神経医学と関係が深い分野といえる。法中毒学は分析化学が中心で微量分析を主な研究対象としているが、日本アルコール・薬物医学会での法医学分野はアルコールによる臓器障害・突然死のメカニズムに関する研究や病理学・薬物動態学、依存形成のメカニズムや薬理学、社会医学的影響等を研究対象としている。法医学のアウトカムは科学的鑑定であることから、依存精神神経医学の成果は法医学に取り入れる必要があり、連携による成果に大いに期待している。

~②内科学とは アルコール依存症にみられる身体的問題とその対策~

藤田尚己 教育映像部
(三重大学大学院臨床医学系講座 消化器内科学 講師)
竹井謙之
(三重大学大学院臨床医学系講座 消化器内科学 教授)

[1] はじめに

適量であれば「百薬の長」といわれるアルコールだが過剰飲酒は様々な身体的障害を惹起する(表 1)。わが国における国民一人あたりのアルコール消費量は、高ストレス社会や飲酒に対する寛容な文化を背景に、戦後右肩上がりに増加し、近年では若干の減少傾向にある。しかし、肝硬変の成因に占めるアルコール性の割合は依然として高く、近年、若干の増加傾向にさえある。本稿では、アルコール依存症に併存する身体疾患につき概説するとともにその問題点を示したい。

[2] 肝障害

慢性的な過剰飲酒により引き起こされる臓器障害で最も高頻度かつ臨床上重要なものが肝障害である。通常はエタノール 60g(日本酒換算3 合)/日以上の飲酒を 5 年以上継続することによって発症するが、アルコールに対する肝障害の感受性には個人差が大きく、性差、年齢、栄養状態、遺伝的素因、基礎疾患の有無などにより大きく左右される(図1)。アルコール性肝障害の診断は他の肝疾患を除外することによってなされるが、その際有用なのが日本アルコール医学生物学研究会(JASBRA)によって作成された「アルコール性肝障害診断基準(表 2)」である。アルコールによる肝障害は、まず肝脂肪蓄積によるアルコール性脂肪肝として発症するが、飲酒の継続により肝炎・肝線維化が進展しアルコール性肝炎・肝線維症に移行、ついには肝硬変や肝細胞癌へと進行する。

また、一部のアルコール性肝炎は、脳症、肺炎、急性腎不全、消化管出血などを合併し、断酒にても肝障害が進行し多くは死に至る重症型が存在する(表 2)。本例が疑われる場合には血漿交換や白血球除去療法などの高度医療を要し、その判断のための重症化スコア(表 3)も提唱されている。

[3] 膵炎

アルコールは急性及び慢性膵炎の主要な成因である。2007 年の全国調査では急性膵炎の 33.8%、慢性膵炎の 63.8%がアルコール性とされた(1)。しかし、膵炎を発症するのは大酒家の一部にすぎず、膵炎発症感受性を決める因子は依然として不明である。

[4] 発癌

WHO は 1988 年に、「アルコールは口腔、咽頭、喉頭、食道、肝、各癌の原因となり、ヒトへの発癌性の十分な証拠がある」とした。2007 年の再評価会議では更に多くの疫学的検証に基づいて、乳癌と大腸癌もアルコール起因性癌として追加された。日本人を含む東アジア人特有のアルデヒド脱水素酵素(ALDH)活性低下者の食道癌発生リスクは 3.4~16.4倍であり(2)、アルデヒドの強力な直接的発癌作用が示唆されている。

[5] 循環器疾患

少量から中等量の適正飲酒では心血管イベント発症率が低下するとした疫学研究[(J(U)カーブ効果]が報告されている(3, 4)。この機序として、アルコールによる血小板凝集抑制作用や線溶系亢進作用、更には HDL-cholesterol 増加作用などが上げられている。しかしながら、大量飲酒者ではイベント発生率は急激に増加する。

一方、アルコールは血圧に対しては二相性の影響を及ぼし、急性期には血圧を低下させるが慢性的な過剰摂取は血圧上昇を引き起こす。更に過剰飲酒は、アルコール性心筋症、心房細動などの不整脈、脳出血などの重篤な心血管疾患の原因となる。

[6] 飲酒と過栄養

飲酒に伴う栄養障害に関しては長い間低栄養の弊害が述べられてきたが、現代ではむしろ過栄養による肥満が問題である。実際、アルコール性肝障害において肥満者の方が肝硬変に進展しやすいとの報告がある(5)。従来の安静と高蛋白・高カロリー食による栄養指導の在り方を根本的に考え直す時期に来ている。

逆に飲酒のメタボリック症候群に及ぼす影響も無視できない(6)。厚生労働省研究班(班長:樋口進先生、国立病院機構久里浜医療センター院長)にて我々が行ったアルコール依存症 101 例における調査では、断酒後多くの症例が、体重や内臓脂肪量に有意な変化を認めないにも関わらず、肝脂肪化の改善に伴い、血圧(図 2A)、中性脂肪値(図 2B)、血糖値(図 2C)、インスリン抵抗性(図 2D)の有意な低下を認めた(共同研究施設:三重県立こころの医療センター)。以上の結果はメタボリック症候群増悪因子の一つとして飲酒の重要性を示すとともに、近年注目されている過栄養に伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)とアルコール性肝障害の相乗的作用の可能性も示している。

[7] アルコール依存症に対する対策

上記のアルコールに起因した身体疾患に対する治療の基本は言うまでもなく断酒や節酒にある。多くの内科医はこのことをよく認識し、アルコール依存症に対するアプローチなくして根本的解決はあり得ないと感じながらも、これに対するスキルや経験に乏しいがため、ややもすれば一時的な軽減をもって問題を先送りにしてしまう。大切なのはいかに断酒を継続させるかであり、根底にあるアルコール依存症に対し精神科医と連携し、場合によっては専門施設への入院加療や断酒会への参加も考慮する。近年、アルコール依存症に対する飲酒渇望抑制薬や節酒薬の有用性が報告されており、同剤の適応も含めて今後ますます内科医と精神科医の連携が重要と思われる。

[8] 参考文献

  1. 下瀬川徹:厚生労働科学研究費補助金環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業. アルコールと膵臓疾患に関する研究. 平成 20 年度総括・分担研究報告書 pp.91-99, 2009
  2. Yokoyama A, et al: Multiple cancers associated with esophageal and oropharyngolaryngeal squamous cell carcinoma and the aldehyde dehydrogenase-2 genotype in male Japanese drinkers. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 11:895-900, 2002
  3. Stampfer MJ, et al: A prospective study of moderate alcohol consumption and the risk of coronary disease and stroke in women. N Engl J Med 319:267-273, 1988
  4. Shaper AG, et al: Alcohol and mortality in British men: explaining the U-shaped curve. Lancet 2:1267-1273, 1998
  5. Naveau S, et al: Excess weight risk factor for alcoholic liver disease. Hepatology 25:108-111, 1997
  6. Fujita N, et al: Alcohol consumption and metabolic syndrome. Hepatol Res 41:287-295, 2011

[9] 図解説

図 1:アルコール性肝障害の各病型と進展様式。

過剰飲酒による肝障害はまず脂肪肝として発症する。さらに飲酒を継続することによって肝病態は進展するが、その進展速度には様々な因子が関与している。
ALDH:アルデヒド脱水素酵素。

図 2:断酒によるメタボリック症候群関連因子の変化。

問題飲酒者(n=101 例)の入院加療による確実な断酒後の、血圧値(A)、中性脂肪値(B)、血糖値(C)、insulin 抵抗性(D)の変化を示す。多くの時点において断酒後の有意な改善を認めている(*は統計学的有意差を示す)。1M は断酒開始後1ヵ月の時点を示す。

12. 賞選考委員会より

賞選考委員会委員長 樋口 進
(独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター)

会員の研究活動や海外での活躍を促進・支援するは、本学会の大きな使命の一つです。特に、若手研究者の海外学会での発表や国際交流を促進するために、本学会は支援の枠組みを拡大してきています。しかし、このような情報が会員に周知されていないためか、学会が設定した各賞に対する応募が少ない状況にあります。

そこで、本ニューズレターにおいて、最近の受賞実績や、応募状況を改めてお知らせします。

1. 柳田賞

柳田知司賞はニコチン、アルコール、薬物依存関連分野で独創的、飛躍的な業績をあげ、この領域における研究の発展に大きく貢献した会員に授与されます。2011 年に第 1 回の受賞者を輩出し、昨年の第 3 回は、星薬科大学の森友久先生が受賞しています。

今年度も、第 4 回柳田賞を募集していますが、6 月 1 日現在、応募がない状況です。応募締め切りは、2014 年 7 月中旬です。会員におかれましては、該当する候補者の推薦をよろしくお願いいたします。

2. 国際学会参加奨励賞・優秀演題発表賞(若手研究者対象)

本学会では、以前から CPDD (College on Problems of Drug Dependence)に参加する若手研究者に奨励賞を出しています。既述のとおり、本学会の若手研究者育成の使命を踏まえ、同様の賞を他の関連学会にも拡大してきています。各賞の直近の受賞者や応募状況は以下の通りです。

次年度も、賞の応募要項が決まり次第、ホームページにアップしますので、推薦をよろしくお願いたします。

1) CPDD 奨励賞 2013 年度受賞者
水野 晃治 先生(川崎医科大学)
2) APSAAR 奨励賞
Asia-Pacific Society for Alcohol and Addiction Research (APSAAR)は、本学会の会員が設立に深く関わり、また、後述の ISBRA 関連学会でもあります。2 年に 1 回の開催で、2014 年は、4 月 25-26 日に上海で開催され、久里浜医療センターの伊藤満先生が参加奨励賞を受賞しました。
3) ISBRA 奨励賞
International Society for Biomedical Research on Alcoholism(ISBRA) は、今年は米国シアトル近郊で、RSA と合同で開催されます。
残念ながら、今のところ応募はない状況です。

13. 学会からのお知らせ・連絡事項

1.総務委員会より

【ご入退会・変更等手続きについて】

周囲に当学会へご興味をお持ちの方がいらっしゃっいましたら、是非、本学会へのご入会をお勧めください。

1)入会について

入会は本ニューズレターまたはホームページ掲載の入会申込書をダウンロードし、必要事項をご記入の上、下記事務局まで郵送・FAX・Eメール添付等でお申込みください。担当理事の審査後、ご請求書を審査から 1 か月程度でお送りいたします。

日本依存神経精神科学会事務局
〒100-0003
東京都千代田区一ツ橋 1-1-1
パレスサイドビル9階 (株)毎日学術フォーラム内
TEL.03-6267-4550 FAX.03-6267-4555
E-mail: jfndds@mynavi.jp
事務局営業時間:平日 10:00~17:00
※土日祝、年末年始、学術集会中はお休みいたします。
2)変更について

ご所属、ご職名などに変更がありましたら、本ニューズレターまたはホームページ掲載の書式をダウンロードし、必要事項をご記入の上、事務局までご連絡ください。

3)退会について

上記の事務局まで FAX、E-mail、郵送等文書に残る手段で、①当学会名、②退会される会員のフルネーム、③○○年度をもって退会するとの一文、の 3 点をご連絡ください。

2.事務局から

【啓発用リーフレットについて】

当学会では「あなたの飲酒が心配です」とした、啓発用のリーフレットを 1 部 30 円で下記印刷所に販売委託をしております。ご希望の方は下記までご連絡ください。

  • 会社名 :畠山印刷株式会社
  • 所在地 :三重県四日市市西浦 2 丁目 13-20
  • 電 話 :059-351-2711(代)
  • FAX :059-351-5340
  • Email :hpc-ltd@cty-net.ne.jp
※学会ホームページにも同様のお知らせを掲載しております。

3.広報・編集委員会より

【『JSND NEWS Letter』広告について】

『JSND NEWS Letter』では、広告を募集しております。ご希望の方は、事務局までご一報いただけますようお願いいたします。
また会員の方からの、広告掲載企業様等のご紹介も大歓迎です。

広告料金(税別)
表 4 4 色 30,000 円
表 3 4 色 20,000 円
後付 1 ページ 4 色 18,000 円
半ページ 4 色 10,000 円

※1 ページ 天地 260 mm×左右 170 mm
※1/2 ページ 天地 125 mm×左右 170 mm

4.ホームページについて

学会の最新情報やお知らせを、随時ホームページでお知らせしております。ぜひお気に入り登録などしていただき、ご覧ください。
http://www.jspra.jp/index.html